ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

幻想

2018-02-03 14:12:16 | 
気が付けば今日も多差路に置き去りにされている
僕は立ち上がり、横断歩道を渡ろうとする
突然、膨大な壁が立ち、激突する
それに何度もぶち当たり、跳ね返される
毎日、この繰り返し

周囲の人たちは器用に壁をすり抜ける
母親に手を引かれた幼子も笑い声さえ添えて
今日も長い一日になりそうだ
そのくせ人生は短い

僕は移動し、別の横断歩道を渡ろうとする
今度は鏡に激突する
ガラスに少しヒビが入り、僕の額から血が流れる
鏡からは血が滴り落ちているのだが
足元のアスファルトに汚れはない
人々は巨大ガラスさえも器用にすり抜ける

雲間から陽がこぼれた
人生に希望はないのだろう
それでも光がないと生きられない厄介な生き物
だから天からその幻想を落とすのだ

僕の脇にはサザンカが咲いていた
わざわざこの季節を選んで
何の希望も持たずに

コメント
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