ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

慈悲深き医師の死

2022-02-01 11:10:01 | 

昨年の秋

自らの診療を終えた後、コロナ患者の自宅を回り、診療する医師をテレビが取りあげていた。

それは深夜にまで及び

「どうしてそこまでやるのか」と問われれば

「医師としてではなく、人間として、ひとりの人間としてとにかく助けたいんです。理屈じゃないんです」と語った顔には大量の汗と共に、涙が浮かんでいた。

 

それから数ヶ月が過ぎ、彼は死んだ。

散弾銃に撃たれ、即死だった。

容疑者は訪問介護の患者の息子

常人なら危険を察知し、この家族を見捨てていただろう。

しかし、彼は違った

自分の命より他人の命が大切なのだ

 

世の中が不条理であることは知っている

善人ほど早死にすることも

それでも、彼には例外になって欲しかった

 

埼玉のふじみ野に

人を救うために命を焼き付けした医師が存たことを

忘れやすい自らのために

いまここに刻む

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