圧巻としか言いようがないです。王将戦は藤井聡太竜王が渡辺明王将を4連勝のストレートで下し、王将位を奪取しました。
これで藤井竜王は王位、棋聖、叡王に王将を加え、ついに5冠王となりました。
第4局を少し振り返ると、渡辺さんが矢倉に組み、藤井君は急戦を匂わせながらの雁木という形に組みました。1日目の形勢は、持ち時間を多く残したことも含め、渡辺さんがややいいのではないかと思われましたが、渡辺さんに決め手を与えず、さらに駒が次第に後退し、終わってみれば藤井竜王の快勝に近かったと思われます。
今日のスポーツ紙の1面は、コンビニで見た限りはすべて藤井君でした。サンスポを買ったのですが、スキーのラージヒルで銀メダルを取った小林陵侑選手が裏1面でした。確かに5冠王は史上4人目の快挙ですが、これまでの感覚ではオリンピックの期間中に将棋棋士が1面を飾ることなどあり得ませんでした。スポーツ雑誌のNumberの表紙にしても。
藤井君だけが何故ここまで将棋の枠を飛び越えたスターになれたのか?勿論、史上最年少棋士、デビューから29連勝、数々の最年少記録など驚異的な実力は言うまでもないのですが、それだけでは人は惹き付けられない。
14才の彼は逆転した対局で「僥倖」という言葉を使いました。19才の彼は今回の出来すぎの結果に対し、「幸運」と言いました。そこに藤井君の人としての成長を見たと同時にクレバーな青年だなと感じました。
将棋での圧倒的な強さと、盤外での頭の良さ。謙虚さ。穏やかさ。このギャップが藤井人気の秘密のひとつではないでしょうか。