昔、担任だった女の先生が「チューリップというバントが好きだった」と言ったのを覚えている。僕は今風にいえば当時流行っていた「チェッカーズの劣化版」のようにとらえていた。僕はただ無知だった。
わがままは男の罪
それを許さないのは女の罪
若かった何もかもが
あのスニーカーはもう捨てたかい
白いスニーカー汚さないように
裸足で雨の中、僕らは歩いた
びしょびしょぬれのトレーナーが
乾くまで抱き合った夏の昼下がり
わがままは男の罪
それを許さないのは女の罪
若かった何もかもが
あのスニーカーはもう捨てたかい
つかみのインパクトが強いですね。
「わがままは男の罪、それを許さないのは女の罪」。昔の話と一蹴することもできるけれども、現在も女性が求める結婚条件に男性の年収がかなりのウエートを占めていることからも、この歌詞はいまだに一理あるとも言えます。
「白いスニーカー」というアイテムが青春の象徴として描かれています。だからこそ激しい雨が降れば、スニーカーを脱いで冷たさに耐えた。青春を守ろうとした。
歌詞の最後に「あのスニーカーはもう捨てたかい」はそのままの意味と、まだ青春は心の隅にあるかの問いにも聞こえます。
武田鉄矢さんが若い頃、チューリップ、特に財津和夫さんにライバル意識を持っていたと語っていたことがありました。
「今にして思えば酒場の酔っぱらいがモーツァルトに絡んでいたようなものだけどね」
武田さんの言葉が財津和夫の才能を雄弁に物語っています。