ユミはいつものように
教室の机にもたれ掛かって眠っている
教師が二度ほど机を叩いた
目を覚ます気配はない
教師は舌打ちして通りすぎた
ユミ、パパは仕事で帰りが遅くなるから
ママのこと、よろしくね
学校が終わったら真っ直ぐ帰ってな
出来る限りでいいから
父はありがちな笑みを浮かべ、玄関を出た
学校から自宅に戻ると
ユミは母と共に過ごす
夕食を作り
入浴を介助し
夜中は肩を貸し、トイレに連れていく
憧れていた男子生徒からの誘いも、断り続けた
終いには「そんなに俺が嫌いか」と捨て台詞を吐かれた
彼のせっかちな背中を
見詰めるユミの目から涙が溢れ
やがて頬を伝った
ユミはいつものように
教室の机にもたれ掛かって眠っている
髪が羽根のように拡がっていた
それは深い眠りだった
もう目を覚ます必要はない
ユミは夢の中で誓った