3月11日、12日に行われた王将戦第6局は、藤井聡太王将が羽生善治九段に勝ち、4勝2敗で初防衛を果たしました。
この第6局は、藤井王将が本来の力を発揮しました。ポイントは1日目にあったと思います。
これまで羽生九段の先手番の2局では、羽生さんはほとんど考えませんでした。事前準備の範囲内で対局が進行していたため、次の一手を考えるよりも、確認作業や、どういう流れで勝ちに繋げていくかをイメージしていたのではないでしょうか。
一方の藤井王将は、未知の局面に何度も遭遇し、長考を繰り返しました。
結果として、1日目で羽生さんと藤井君の消費時間は大きな差が生まれました。
しかし、第6局は、1日目の消費時間が両者ほぼ同じ。藤井王将が羽生九段に1日目から考えさせる展開にもっていきました。
このような勝負になれば、藤井聡太は滅法強い。攻めて攻めて、攻めダルマとなり、羽生九段に快勝しました。
敗れたとはいえ、羽生九段は現在の力を出し切りました。藤井王将に本来の力を出させない指し回しは、豊富な経験のなせる業なのでしょう。印象深いのは第5局。この勝負で羽生さんは敗れたのですが、氷の盤上を用意し、藤井王将が何度も滑って転倒しているうちに逆転し、終盤は「羽生勝ちか」という局面まで持っていったテクニックは見事でした。
現代を代表する棋士である藤井王将と、平成を代表する棋士である羽生九段のゴールデンカードは、藤井王将に軍配が上がりました。
「今までにないタイトル戦だった。これを機にさらに成長したい」。藤井王将の言葉は紛れもなく本心でしょう。
藤井・羽生のタイトル戦、また見たいですね。
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