6月7日(水)晴れ。
朝食は、野菜のうま煮丼、タマゴスープ。昼は抜いた。夜は、自宅近くの「浜一寿司」にて、去る人と来る人との一献会。思い出話や、これからの話で気が付けば、ボトルが開いていた。お世話になった去る人に感謝。
大変古い話で恐縮だが、三橋美智也のヒット曲『古城』という歌がリリースされたのは昭和34(1959)年のこと。私は、8歳だった。当時、我が家にはテレビはなく、夜の楽しみはラジオを聞くことだった。別に歌謡曲が特別好きだったわけではないが、一説によると300万枚を売り上げたというその歌は、当然ながらラジオから良く流れていた。一番の歌詞は、「松風騒ぐ 丘の上、古城よ独(ひと)り 何偲(しの)ぶ、栄華の夢を 胸に追い、あゝ 仰げば佗(わ)びし 天守閣」。と言うもの。小学生の低学年だった私が暗唱できたくらいだから、数多く聞いていたのに違いあるまい。
その歌詞の中の「栄華の夢」を、長い間「映画の夢」だと思っていた。「映画の夢」でも歌詞が繋がるのだから、子供の私が勘違いしていたとしても不思議ではない。大体、子供だった私が「栄華」や「栄耀栄華」などの熟語を知っていたはずもない。「映画」が「栄華」であることを知ったのは、随分と後のことである。多分、テレビが普及して、画面に歌詞が出るようになってからだと思う。
確か、向田邦子さんにも、そんな間違いをタイトルにした『眠る盃』という本があった。「荒城の月」の「めぐる盃」を「眠る盃」と覚えていたことに因んだエッセイである。向田さんの子供の頃に、テレビがあったなら、こうした間違いはしなかったかもしれない。