3月4日(月)晴れ。
目が覚めたら9時過ぎ。天気が良い。なぜかカレーが食べたくなって昼近くに愚妻を伴って京急の井土ヶ谷駅近くの「ココイチ」へ。ご飯少なめのコロッケカレー。食後に「マルエツ」というスーパーで買い物してから帰宅。夜は、ホタテとアスパラガスのニンニクバター炒め、鶏肉のから揚げ、総菜のマグロの角煮、昆布煮。お供は、「村尾」をエイヤッと気合を入れて空けた。ロックからお湯割りへ。酔狂亭にて独酌。
歳を取ると、今日よりましな明日なんか無いと感じてしまう。随分と様々なところへ様々な人と旅をしたが、その思い出の分だけアルバムがある。 随分前に購入したのが、『ウイスキー粋人列伝』(文春新書・820円)。「吉田茂も黒澤明も向田邦子も日本人はみんなウイスキーが好きだった」と帯にあり、愛飲家90人のエピソードが綴られている。私は飲食に関する本が好きで、特に酒のエビーソードについて書かれたものは、目についたらすぐに買うようにしている。まだ、読了したわけではないが、「列伝」のトップに登場するのがクラッシックのギターリストでエッセイストでもある村治佳織さん。彼女のウイスキーの話も良かったが、嬉しかったのが次の一文。
「トレドには、もう何度足を運んだかわからない。パラドールのお庭から見るトレドの全景、これは画家のエル・グレコも魅せられてトレドに移り住んだという逸話も残っているぐらいでも、千年も景色が変わっていない。私の中では、いま地球上で見られる中でも、もっとも好きな光景の一つです」というもの。ちなみに「パラドール」とは、スペインでは古城などを改装したり、景勝地に新しく建てた半官半民の宿泊施設網のことである。
私は、村治さんが、トレドのパラドールから見た「いま地球上で見られる中でも、もっとも好きな光景の一つです」を、もう30年も前に野村先生と共に見た。その庭で、先生は旅の感慨を語り、私がビデオに収めた。命のあるうちに機会があればもう一度訪れてみたいものだ。トレドはキリスト教徒がイスラムを駆逐した「レコンキスタ」(失地回復)の地としても有名である。※野村先生が亡くなられた年、平成5(1993)年8月、トレドにて。42歳の私です。