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2月6日(木)晴れ。
私の住む町では、市議会議員の補欠選挙の真っ最中。何でも、現職の市議会議員が海外で起業するため議員を辞職した。と言うのが表向きの理由だが、そんな綺麗ごとを誰も信じていない。その男の恩師や仲間の議員、後援者がカンカンになって怒っているという。何でも糟糠の妻を捨てた後に、支援者、後援会の人たちの前で若い、新しい女を紹介されたときには、出席者の誰もが驚いたという。議員辞職をする際にも、かつて秘書をしていた恩人の政治家に一言の挨拶もなく、番頭さんたちは、監督不行き届きで、ひどく怒られたという。確かめたわけではないが、あちらこちらに借金を残しての逐電とも、まことしやかに噂されている。任期半ばで、仕事を放り投げたお陰で、補選の経費が1億円とのこと。税金の無駄遣いとはこのことだ。そのせいなのかもしれないが、彼の所属していた政党から候補者が立候補していない。いや出せないのだろう。しっかりしてくれよ自、いや世襲議員ばかりの政党さん。
向田邦子さんの『海苔と卵と朝めし-食いしん坊エッセイ傑作集』(河出書房新社刊)という本なに興味深いエピソードがあった。紹介してみたい。
「友人に料亭のあるじがいる。その人が客の一人である某大作家の魚の食べっぷりを絶賛したことがあった。『食べかたか実に男らしいのよ。ブリなんかでも、パクッパクッと三口ぐらいで食べてしまうのよ』ブリは高価な魚である。惜しみ惜しみ食べる私たちとは雲泥の差だなと思いながら、そのかたの、ひ弱な体つきや美文調の文体と、三口で豪快に食べるブリが、どうしても一緒にならなかった。そのかたは笑い方も、ハッハッハと豪快そのものであるという。なんだか無理をしておいでのような気がした。男は、どんなしぐさをしても、男なのだ。身をほじくり返し、魚を丁寧に食べようと、ウフフと笑おうと、男に生れついたのなら男じゃないか。男に生れているのに、更にわざわざ、男らしく振舞わなくてもいいのになあ、と思っていた。その方が市ヶ谷で、女には絶対に出来ない、極めて男らしい亡くなり方をしたとき、私は、豪快に召し上ったらしい魚のこと、笑い方のことか頭に浮かんだ」。
説明の要もないだろうが、三島由紀夫先生のことである。ちなみに向田さんは新聞『赤旗』の愛読者であることを自ら明かしている。以前、三島先生が愛した新橋の鳥料理屋の「末げん」に同志と共に行ったことがある。女将さんに三島先生が最後に食した同じメニューをお願いした。しみじみとした良い食事会となった。※写真は、「末げん」にて野村秋介先生の一門の同志らと。