なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

90歳の出血性十二指腸潰瘍

2015年12月14日 | Weblog

 先週の木曜日に90歳女性が意識低下で入所している施設から救急搬入された。救急担当の外科医から連絡が来て、救急室に見に行った。以前に大腿骨頸部骨折で入院した時もHb7~8g/dlの貧血だったが、その日は4g/dlと低下していた。吐血下血がなく、直腸指診でタール便がないということだった。バイタルは安定してショックではなかった。横臥していると意識は戻っていた。

 輸血をして経過をみることにしたが、BUNがちょっと上昇していて、救急外来で検査した胸腹部CTで十二指腸壁が肥厚していた。その日の輸血が夕方から始まることもあり(当院は輸血製剤のストックは基本的にない)、翌日の金曜日に上部内視鏡検査を行った。入院当日の夜間に不穏がひどく、セレネースを静注していた。夜間に排便があり、少量のタール便が確認されていた。

 胃体上部後壁と幽門部後壁に毛細血管拡張が目立ったが、出血はなかった。さて十二指腸はと球部に挿入すると急性期の潰瘍があった。潰瘍底に短く線状に血液が付着していたが、露出血管はなかった。球部内~下行脚に出血はなかった。通常の十二指腸潰瘍よりも奥側にあるので、血行障害が影響しての潰瘍かもしれない。最近のNSAID内服はない。

 輸血は農耕赤血球を3日間かけて2単位ずつ、合計6単位行った。今日はHb9.6g/dlになっていたので、新規の出血はないと判断された。BUNも辞正常範囲だった。昼からソフト食を出したが、むせずに食べた。明日からは全粥刻み食でいけそうだ。抵抗すると思った内視鏡検査は案外スムーズにできた。このまま順調にいけば、今週末に退院にして、年明けの1か月後に再検してみよう。

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