なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ミヤBM、想定内の再入院

2015年12月23日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。当番医が御夫婦(夫が内科で妻が小児科)で診療している内科小児科クリニックのためか、小児科の受診が2名のみだった。内科の受診も少なく、珍しく救急車も来なかった。消化器科医が出てきていて、月曜日の早朝に胃腸炎で入院した患者さんはノロウイルスだったという(迅速試験が陽性)。先週金曜日に入院した腸管嚢胞状(様)気腫症の患者さんは高圧酸素療法を始めたそうだ。

 整腸剤のミヤBMを院内に入れたのが、この消化器科の先生だった。理由はそれまでの整腸剤が、ラックBとビオフェルミンRで粉薬のため、錠剤の整腸剤がほしいという単純な理由だった。入れてみると大きさが小さくて飲みやすい。胃酸にも胆汁にも抗菌薬にも不活化されずに大腸に届くのだった。つまり、Rの付いた(抗菌薬で不活化されない)整腸剤と同等だった。同じクロストリディウムなのでディフィシルと拮抗する働きもあるらしい。今日の治療薬には、ピロリ菌除菌時の下痢・軟便の予防のため除菌薬に併用されることが多い、とある。実際、消化器科では時々だが併用している。個人的には、広域抗菌薬を投与する時に併用したりするが、CDI予防のエビデンスはないそうだ。

 ミヤBMはミヤリサンという、ほとんどこれだけ作っているような会社の製品だ。院内に入れた時に、説明会(弁当付きの)を開いてくれた。その後、使用量が多いためか、数年後にまた説明会を開いた。病院全体としてミヤBMをこれだけ使う病院は少ないのかもしれない。定期薬にはならないので、数日間の投与になるが(まれに下痢型過敏性腸症候群で少し長く使う)、当院の頻用薬になっている。あと、ガスモチンも当院では使用量がむやみに多いはずだ。この消化器科の先生と私がガスモチン好きで、PPIだけで症状がとれにくい逆流性食道炎や高齢者の便秘(マグラックスと併用)、さらにはオピオイドの消化器症状防止で良く使っている。

 昨日、気管支拡張症・慢性呼吸不全(HOT中)の69歳男性が呼吸苦と食欲不振でまた入院した。8月に肺炎併発(緑膿菌)で紹介入院になったが、その時血便(数か月前からあった)から直腸癌(肝転移・肺転移あり)と判明した。外科に相談して手術適応はなく、マイルドな化学療法は食欲不振ですぐ中止となった。今月初めに腸閉塞となって外科に入院した。腹膜播種だと治らないかもと思ったが、保存的治療(イレウス管挿入)で治った。

 一人暮らしのHOTなので、そのまま内科で引き取って入院継続でよかったが、自宅の方が気楽らしく退院を希望した。3日目に呼吸苦となり、発熱はないものの酸素飽和度の低下と炎症反応上昇があり、肺浸潤影があった。いつ再入院してもおかしくないので、予想された再入院ではあった。いったんは退院するので、その都度新規入院扱いとなり、DPC病院としては理想的な?患者さんだ。癌が進行した時は、書類は作成しないが、DNRの方針とする予定でいた(身寄りがなく、責任者は福祉課の人)。前回外科医がご本人に署名してもらってDNRの書類を作成していた。当院では中高年の癌終末期の患者さんや超高齢の誤嚥性肺炎の患者さんでDNRの書類を作成するが、患者さん本人が署名することはほほない。

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