なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

医療事故調査制度

2015年12月01日 | Weblog

 今日は院内勉強会として、大学病院の医療安全推進室長の先生を招いて講演を聴いた。予期しない死亡があった時に、医療事故調査制度ができるきっかけになった事件を出されたが、10年以上前の事件としては福島県立大野病院事件(産婦人科で出産時の大出血)くらいしか覚えていない。最近のは、東京女子医大プロポフォール事件や群馬大学腹腔鏡手術事件など、記憶に新しい。

 制度自体の目的は医療事故の再発防止だそうだが、患者側と病院側のいずれにも偏らない調査ということなのだろう。厚労省としては報告書が司法に使用されるかどうかは関知しないそうだ。制度開始から1ケ月で全国の相談件数は250件で当県ではまだない。

 医療事故の定義は、医療に起因すると疑われる死亡であって、予期しなかったものをいう。つまり、医療行為によって死亡が起きる可能性を予期して、患者家族に説明してあれば、事故ではないことになる。そうはいっても、通常の虫垂炎手術などは死亡が起きる可能性を術前に説明する疾患には当たらない。患者個別の問題もあり、90歳前後で穿孔性腹膜炎を併発していれば、死亡の可能性は当然お話することになる。

 大学病院でも医療事故で問題になること(警察が介入)があったが、医療事故調査をするようになってからは、ないそうだ。公になることを嫌う向きもあるが、ぜひ医療事故調査をという結論だった(事故がないにこしたこはないが)。

 まだ医療事故調査委員会もきちんと決まっておらず、外部の委員をどうするか、病理解剖やAutopsy imagingをどこで行うのか(負担金も含めて)などまたまだ検討中だそうだ。

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