なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

戻ってきたくも膜下出血の患者さん

2015年12月17日 | Weblog

 今日は外来がないので、ゆったりと過ごしている。朝方転倒した82歳女性が救急搬入されていた。自宅で転倒して、しりもちをついた後に動けないということだった。ふだんは糖尿病・高血圧症で内科外来に通院している。当直の外科医が検査したが、骨折はなかった。左大腿骨頸部骨折の既往があり、人工関節置換術を受けている。立たせてみると、案外立てた。38℃の発熱があり、胸部X線・CTで左下肺に浸潤影があった。肺炎で高熱が出て、ふらふらして転倒したらしい(ふだんのADLもごくゆっくり歩く程度)。朝に画面で肺炎を見て、病棟の空ベットも確保していたので、外科医から電話が来てた時には即入院を決定した。けっこう元気で、1週間くらいで治りそうだ。

 昼前に消化器科医といっしょに内視鏡的胃瘻造設術(PEG)を行った。67歳男性で、昨日紹介先の病院から当院神経内科に転院してきた。そもそもは、四肢の疼痛と炎症反応上昇で近くの病院から紹介されて、当院に入院した。内科の若い先生が担当して、リウマチ性多発筋痛症(PMR)として治療を開始した。頭痛・視力障害もあるというので一緒に診察した。jaw claudicationがあった。側頭動脈生検で巨細胞性血管炎と診断できなかったが、臨床症状から巨細胞性動脈炎+リウマチ性多発筋痛症と診断した。

 通常はリウマチ膠原病科に紹介するが、この方は一人暮らしで、他県に親族はいるが交流はない(電話には応じるが病院には来ない)。またご本人の性格もあり、紹介しにくかった(本人も希望しなかった)。病棟の看護師さんはおかしな物理学者と呼んでいたが、変に理屈っぽい独特のキャラクターだった。プレドニン50mg/dlから開始して順調に症状と検査所見が改善した。

 元気に手を振って退院していった。長く病院駐車場に留めてあった車で自宅に向かった。向かったが、途中で車を道路わきに止めて、そのまま昏睡状態で倒れてしまった(推定になるが)。近くの人か発見して救急要請して、退院したばかりの病院に戻ってきた。頭部CTでくも膜下出血と認めた。意識はJCS300。そのまま主治医だった先生が担当した。血圧のコントロールとグリセオール投与で脳圧低下を図って経過をみていた。誰も見舞いに来ない病室で、昏睡状態が続いたが、その後開眼して発語があるようになった。

 基幹病院脳外科医に連絡すると、手術しますと引き受けてくれた。そのままそこで手術になると思ったが、さらに脳卒中センターのあ病院へ転送になったと連絡がきた。理由はわからなかったが、PEGの時に神経内科あての紹介状を見ると、椎骨動脈領域の脳動脈瘤のため、血管内治療のできる病院へ搬送したという事情だった。意識はあるが、会話や経口摂取はできない状態で、経鼻胃管が入っていた。この後は施設入所の申し込みになるのだろうか。ご本人はもちろん大変だが、他県から呼ばれて手続きに来る親族も大変だ。プレドニンは現在30mg/日になっている。

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