今日は休み。肝胆膵2015年2月号「自己免疫性膵炎 20年の軌跡」を読んでいる。当院で診断できなかった自己免疫性膵炎(AIP)2例をまとめている。いずれも紹介先の病院で診断された。紹介したのは当院の他の先生たち。
1例は発症時40歳代の女性で、検査で高γグロブリン血症・高IgG血症で気付かれた。今から見ればびまん性膵腫大とcapsle-like rimがあった。骨髄腫疑いで検査をしたが、違った。腹腔内と縦郭内リンパ節腫大があり、悪性リンパ腫として血液内科のある病院に紹介された。高度の高IgG4血症でAIPと判明した。当時すでにAIP診断基準2002年も2006年も出ていたが、当院ではまったく考えていなかった。現在は当院当院消化器科外来に通院して、プレドニン維持療法(5mg/dl)を継続している。
もう1例は80歳代男性で、糖尿病の悪化が契機となった。腹部造影MRIで膵頭部に腫瘤があり、その部位で主膵管が狭細化している。今から見れば、腫瘤内を膵管が通っているので、duct penetrating signと判断できる。尾側膵管はそれほど拡張していない。膵癌疑いで県立がんセンターに紹介されて、AIPと診断された。プレドニンを半年程度投与して、漸減中止となっている。今のところ再燃はない。この方の膵には全体に石灰化がある。アルコール摂取はない(飲めない人)。軽度の高IgG4血症があって、現在は正常域。この石灰化をどうとらえるかが問題だ。