なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

90歳の進行胃癌

2016年05月12日 | Weblog

 一昨日、内科医院から90歳男性が紹介されて受診した。先月末から心窩部重苦感があり、食欲が低下していた。Hb5g/dlと貧血があった。外来で直腸指診をしたが、明らかなタール便ではなかった。胃癌だろうと思われた。

 やせているので、単純CTではうまく描出されないかと思いながら、撮影してみた。胃角部から幽門までほぼ全周性に胃壁が不規則に肥厚して、広がりが悪い。幽門狭窄により、胃体部に食残がたまっていた。できれば食残が流れたとこをで内視鏡検査をしたいと思って、2日間点滴絶食として。今日内視鏡検査を行った。CTで認めたとおりに胃角から幽門にかけて不整潰瘍が広がっていて胃癌だった。幽門輪が確認できないので、少しずつ内視鏡を進めたがどうしても嘔吐してしまうので無理しなかった(正確にはできなかった)。

 表面は壊死組織が覆っていて、水で洗おうとしてもなかなかとれない。生検は通常は癌の確認のためには4個採取するが、壊死組織だけになる可能性があり、6個とった(生検陰性で再検したくないから)。正確にはNGチューブを挿入して、ガストログラフィンで造影剤の流れをみるべきだろうが、CTで見えた食残が流れていることから、かろうじて通っていると判断した。まず流動食を出してみる。入院時について来た娘さんは、覚悟して来ましたと話していた。おそらく胃癌だが、内視鏡検査をしてから説明することにしていた。

 単純CTだが、肝転移や腹水はない。年令の割に元気ではある(小さいかわいいおじいさん)。バイパス術の適応はどうか。たぶん適応はないのだろうが、外科の先生に相談はしてみるつもりだ。

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