なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

気管支喘息バイブル

2016年05月14日 | Weblog

 水曜日に仕事が終わってから、丸善に行った。平凡社新書の「こころはどう捉えられてきたか」田尻祐一郎著を購入するのが目的だった。ついでに?、医学書コーナーにも寄って、以前から購入予定だった倉原優先生の「COPDの教科書」医学書院と「気管支喘息バイブル」日本医事新報社も購入した。COPD・喘息の吸入薬が複雑になって、覚えきれない。倉原先生がわかりやすくまとめているので、知識の整理に役立つ。非専門医にはこれで十分だ。

 今日は「気管支喘息バイブル」を読んでいた。いわゆるアスピリン喘息は、海外ではaspirin-exacerbated respiratory disease(AERD)と呼ばれているそうだ。PG合成酵素のCOX、特にCOX-1阻害作用を持つNSAIDsによってPGE2が減少することで起こる。喘息患者の5~10%(7%)にみられる。アレルギーではない。

 アスピリンだけに対する過敏症ではないので、NSAIDs過敏喘息などの用語を用いた方がよいという意見もある、とある。確かに、ある開業医の先生が、アスピリン喘息はアスピリンだけで起きて、他のNSAIDsでは起きないと思い込んでいた。

 コハク酸エステル型のステロイド(サクシゾン、ソル・コーテフ、ソル・メドロール、水溶性プレドニン=注射薬)の点滴静注で症状が悪化する。リン酸エステル型のステロイド(ハイドロコートン、リンデロン、デカドロン)は比較的安心だが、パラベンなどの添加物が含まれているので、そちらが症状を悪化させる可能性がある。内服できれば、プレドニン錠が最も安全という(内服できればだが)。昔の教科書にはリン酸エステルとコハク酸エステルの違いの記載がなかったと思う(たぶん)。喘息発作で、ソル・コーテフの点滴静注を開始してすぐに患者さんからかえって苦しいと言われた経験がある(相当昔の話で、私も古い)。

 今でも覚えているのは、研修医のころ喘息で通院していた当時40歳代の女性のアスピリン喘息だ。婦人科を受診して、婦人科で何の病気で使用したかは忘れたが、外来でボルタレン座薬を使用された。f婦人科の外来から出てきて、廊下でひどい呼吸困難になっているのに偶然出会った。すぐに救急外来に移動して治療を開始した。幸いに外来治療で軽快して、入院にはならなかった。治療内容は覚えていない。倉原先生お勧めのアドレナリン筋注は使用しなかった様な気がする。ステロイドは何を使ったのだろう。

 セレコックス(COX-2阻害薬)は症状を悪化させないが、添付文書ではAERDに使用できないので、処方しないほうが無難とある。昨年?の内科学会のセルフトレーニング問題に、「セレコックスは安全に使用できる」が正解という問題があった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする