なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

水と脂肪が溜まっていた

2016年05月29日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。糖尿病で通院している76歳女性が全身浮腫で受診した。糖尿病腎症があり、尿蛋白陽性で血清クレアチニン1.3mg/dl。インスリン強化療法にしているが、ご本人は脳梗塞後遺症・血管性認知症があり、インスリン注射は夫がしていた。

 無痛性に心筋梗塞が発症してうっ血性心不全になったか、ネフローゼ症候群を呈したか、と考えながら検査をした。腎機能は普段と変わらず、ネフローゼでもない。胸部X線・胸腹部CTで見ると。両側胸水貯留と肺うっ血はあるが、腹部は腹水がなく著明な内臓脂肪だけだった。心電図では普通の洞調律で、肢誘導で低電位差があるが、虚血性変化はなかった。BNP80で、肝機能・甲状腺機能は正常。心不全状態ではあるが、予想したよりは検査結果としてたいしたことがなかった。低ナトリウム血症はないが、水をかなり飲んでいて、食事摂取も多かったそうだ。体内の水と脂肪が増加した状態を、どう表現するのか正しいのか。今日は利尿剤静注で経過をみて、明日心エコーをみてもらうことにした。

 昨日は糖尿病の講演会に行った。小林哲郎先生(沖中記念成人病研究所)が1型糖尿病の話をされた。劇症1型糖尿病ではTh1(細胞性免疫)が関与して、緩徐進行型1型糖尿病はTh2(液性免疫)が関与する。したがって、前者では自己抗体がほとんど検出されず、後者は自己抗体が検出される。急性発症1型糖尿病(普通の1型糖尿病)はその中間に位置する。

 緩徐進行型1型糖尿病では膵管上皮の過形成のよるムチン産生が起こり、それによって膵島と外分泌組織が障害を受ける。つまり慢性膵炎様の障害。ただし膵島の障害は自己免疫の機序が起きることで生じるそうだ。緩徐進行型1型糖尿病では膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の発症が多いという。

 劇症1型糖尿病ではウイルス感染によって1週間以内に膵島炎が起きて、急性発症1型鵜糖尿病では同じくウイルス感染によって数か月で膵島炎が起きる。後者では、膵島炎が進行して糖尿病が発症する前に治療を開始すると(相当困難な条件だが)、糖尿病発症を予防できる可能性があるという。小林先生は山梨大学名誉教授で、そういえば山梨大学では膵臓の組織の研究をしていたと思い出した。昔大学で膵臓の組織構築をやっていたので、ちょっとうれしくなる話だった。

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