ちょっと前に慢性膵炎の増悪で入院した35歳男性がまた入院していた。膵炎の原因は不明で、特発性としか言いようがない。主膵管に膵石が形成されて、胆膵の専門的な治療のできる病院で内視鏡的膵石摘出を受けたこともある。現在は、CTで見ると膵鉤部に膵石がある。
まだ膵外分泌は枯渇していないので、今後も膵炎発作を来たすと予想される。発症時は血清アミラーゼが上昇するので、診断には困らない。消化器科医が試しに、血清トリプシンとホスホリパーゼA2(PLA2)を外注検査に出したところ、当然だが上昇していた。トリプシンが6590ng/ml(100~550)、PLA2が1360ng/dl(130~400)だった。
ふだん測定していないので値の評価は難しいが、正常値と比べて桁が違うほど上昇していたので、確かに膵炎なんだと実感したそうだ。膵酵素は爆弾のようなもので、膵組織内で活性化しないような仕組みになっているが、遺伝性・家族性膵炎では活性化しやすくなっている。特発性膵炎の患者さんも何か膵酵素の活性化しやすい病態なのだろう。
久しぶりに「トリプシン」という言葉を聞いたという話。患者さんはいつもの膵炎の治療で軽快して無事退院した。
木曜日の感染管理の院内勉強会で、国際医療福祉大学の遠藤史郎先生に血流感染の講演をしてもらった。血液培養が陽性に出た時は、血液培養再検で陰性化を確認して、そこから病原菌や原疾患で規定されている投与期間の治療を行わなければならない。心内膜炎の時は再検していたが、尿路感染症や胆道感染症の時は、血液培養再検はほとんどしていなかった。
感染管理(ICT)で年に2回勉強会を開かなければならない。今年はASTも始めたので、こちらも年に2回勉強会を開かなければならない。ただ、抗菌薬の話が入っていれば、両方兼ねたことにしてもいいそうだ。もう1回は遠藤先生から具芳明先生に打診してもらったが、今のところ未定。