なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

周期性四肢麻痺

2018年08月24日 | Weblog

 興味深い症例があった。患者さんは31歳男性で、6月から脱力発作を繰り返していた。両側大腿部痛を訴えて、まず整形外科クリニックを受診した。症状が続いて、当院の整形外科に紹介となった。

 整形外科外来では、症状は発作的に起こること、筋肉痛というより筋力低下であると判断された。発作的に両下肢の筋力低下(その後左上肢にも)が生じて、回復すると元に戻っている。

 整形外科から神経内科の新患外来に紹介された。すぐに周期性四肢麻痺と診断されて、甲状腺機能検査では機能亢進だった。血清カリウムは正常域で低下していない。甲状腺外来に紹介された。

 ちょっと当院の事情になるが、甲状腺外来は外科で行っていて、本来は甲状腺癌(結節性甲状腺腫の鑑別)を扱っているが、機能亢進症(バセドウ病)や機能低下症(橋本病)も診ている。抗TSH受容体抗体陽性でバセドウ病と診断された。抗甲状腺薬(メルカゾール)とヨウ化カリウ丸が開始された(正常化までのβブロッカーも)。

 昨日の午後に左背部痛から下腹部痛で救急搬入されて、左尿管結石と診断された。外科で入院して、合わせて治療を行うことになった。血清カルシウムが10.9~11.1と軽度に上昇している。副甲状腺機能亢進が気になるが、intact PTHはやや低下していた。甲状腺機能亢進症の影響らしい。

 整形外科~神経内科~甲状腺外来という経緯で診断・治療にたどり着いている。最初は大腿部痛の訴えだったが、自覚的にそう感じたということなのか。血清CKは正常域で神経痛でもない。

 

 大学の病理に学位研究でいっていた時に、副甲状腺機能亢進症の剖検例があった。高カルシウム血症から尿路結石をきたして、尿路感染症から敗血症性ショックに陥って死亡していた。病理の教授が小さな副甲状腺腫瘍(腺腫)をつまんで、「獅子身中の虫ですなあ」と言ったのを覚えている。

 

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