昨日の日直の時に受診した17歳女性。午前中に、2日前から咳・発熱が続いて受診した。鼻汁・咽頭痛はない。連れてきた母親が咳がひどくてというが、診察中はそれほどでもなかった。聴診上は異常がなかった。喘息の既往はない。
3日目だが心配ならば肺炎の有無を見るために胸部X線をとりましょうか、言ったが、母親はとらなくてもいいとうことだった。通常の鎮咳剤と咳がひどい時様にリン酸コデイン1g頓用を処方した。
夕方から咳がひどくなって、ゼーゼーもあると再受診した。聴診すると、吸気時(呼気時ではなく)に軽度の喘鳴が聴取された。横臥すると苦しいという。酸素飽和度が93%(室内気)で、何度か測定すると93~96%になっていた。嚥下はできて、頸部X線でも喉頭蓋炎の初見はなかった。胸部X線で右下肺野に淡く陰影があり、心陰影に沿って空気(気腫像)がある。後から呼吸数をみると、26回/分の頻呼吸だった。
数分横臥できるかどうか尋ねると、できそうだという。CT室で横臥するとちょっと咳込んだが、その後胸部CTは撮影できた。CTでは、右中葉に淡い斑状影が散在して、空気が混じっている?、心周囲から気管に沿って縦隔気腫を呈していた。それに葉間胸膜にも気腫像。肺炎の咳による気道圧亢進で気管支末梢が切れたということか。
肺炎の治療を行って、縦隔気腫は咳を鎮めて経過観察しかないのかもしれないが、自信が持てなかった。地域の基幹病院の呼吸器内科に紹介させてもらうことにした。
後で看護師さんから、母親がX線撮影(被曝)をかなり気にしていたと教えてくれた。単純X線の時もCTの時も看護師さんに大丈夫でしょうかと言っていたそうだ。そういえば所見を説明した時に「撮ったかいがある」と言っていたような。そこまで気が回らなかった。