今日は日直で病院に出ている。「左下腿が腐って、腐敗臭がしています」と、救急隊から78歳男性の搬入依頼が来た。1月か3月ころからの症状で先月から悪化して歩行できなくなったというので、急性動脈閉塞ではない。糖尿病性壊疽が疑われた。
搬入されると、救急室に腐敗臭が充満した。先月から動けなくなって、臀部と右下腿~踵に褥瘡もできていた。意識は清明で、訊くと良くしゃべる。下肢の感覚障害があって、思ったよりは痛くないのだろう。よくここまで悪化させたものだと関心する。奥さんと二人暮らしで、奥さんはあっけらかんとしていた。歩行できる時は整形外科医院に通院していたが、下肢は見ていないのだろうか。
糖尿病はない、家族歴もないと言っていたが、血糖566mg/dl、HbA1c12.9%とかなりの糖尿病だった。Hb7.1g/dl(MCV91.9)の正球性貧血があった。便は普通便で、慢性炎症を反映しているのか。腎機能はBUN11.4、血清クレアチニン0.48と正常域だった。視力障害があり、糖尿病性網膜症のようだ。
当番の外科医(血管外科)に連絡して来てもらった、下肢のCTで骨周囲・筋組織内に空気があり、ガス壊疽状態と判断された。37℃代の発熱があるが、血圧低下はない。緊急で下肢切断術(膝上)をすることになった。
術後の血糖コントロールはヒューマリンRのスケールを使用するはずだが、内科で基礎インスリンをベースに入れて、その後はインスリン強化療法を行うことにした。