なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺血栓塞栓症

2018年08月22日 | Weblog

 内科の若い先生に77歳女性のことで相談された。10日に発熱・炎症反応上昇で入院していた。肺炎はなく、胆道感染症も否定的だった。CVA tendernessはないが、尿混濁はあるので、尿路感染症(急性腎盂腎炎)疑いという判断だった。セフトリアキソン投与を開始して、軽快しているようにみえる。

 昨日体動時に少し息切があり、酸素飽和度が90%を下回った。酸素吸入2L/分を開始して、飽和度94~95%にはなっていた。D-dimerが15.5と上昇している。胸部X線で肺動脈の拡張(太い!)を認めた。肺野に異常を指摘できない。

 胸部造影CTをするかどうか迷ったらしいが、これは肺血栓塞栓症しかない。造影検査をする一押しがほしくての相談だったようだ。結果は両側の肺動脈に血栓を認め、左下肢に深部静脈血栓症があった。

 循環器科に相談して、腸骨静脈に大きな血栓がないことを確認してから抗凝固療法を開始することになった。ヘパリンはワンショットとDOAC倍量内服の指示が出た。

 入院時やその前の胸部X線でも肺動脈は目立っている。慢性肺血栓塞栓症がと思ったが、15年くらい前に心房中隔欠損症(ASD)の手術を受けていた。その年齢で手術していれば、ある程度肺高血圧はあったのだろう。

 両下肢の腫脹はなく、左大腿部が痛いというが、いつからですかと訊くと、ずうっと前からと答える。循環器の先生から、入院時の症状は深部静脈血栓症の症状だったかも、と言われた。

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