なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

抗不整脈薬で不整脈

2018年08月10日 | Weblog

 内科に通院している82歳女性が息切れで受診した。新患担当の先生が検査を出して、胸部X線で心拡大があった。肺うっ血・水腫はなかった。ふだん高血圧はないが、血圧が180と上昇としていた。心電図は、洞徐脈から洞停止を繰り返していた。数秒間VT様波形(TdP)が出現したが、幸いに治まって、また洞徐脈から洞停止を繰り返す心電図になった。

 新患担当の先生(大学病院からのバイト)から連絡が来て診に行ったが、心電図検査の段階で循環器科医が呼ばれていた。血液検査で電解質異常はなかったが、血清クレアチニンがふだんより上昇していた(1.33mg/dl)。

 内科外来で不眠症のデパス(エチゾラム)、頭痛の葛根湯などを処方していた。数回の発作性心房細動(PAF)の既往があり、サンリズムも処方していた。内服しているとPAFは起きず、リズムコントロールがうまくいっている数少ない方だった。サンリズム(50mg)3錠分3だったが、80歳から2錠分2にしていた。

 まず抗不整脈薬の副作用が疑われた。血中濃度を低下させるため、点滴滴数を増やして利尿薬投与(ラシックス静注)が行われた。アトロピン静注とプロタノール点滴静注も開始された。徐脈は改善しなかったので、循環器科で体外式ペースメーカー挿入が行われて入院になった。

 心臓自体の問題で不整脈になった可能性もあるが、やはりこれは薬剤性だろう。循環器科の先生にご迷惑をおかけしてしまった。

 5~6年前に、クリニックでタンボコール(常用量)が処方されて、徐脈性不整脈から心肺停止になった高齢の患者さんがいた。当時いた循環器科医が体外式ペースメーカーを入れようとしていたが、間に合わなかった。

 βブロッカー・Ca拮抗薬(ワソラン・ヘルベッサー)以外の抗不整脈薬を処方することはほとんどないが、本当に怖い薬だ。

 

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