火曜日に狭心症疑いで内科クリニックから74歳男性が当院循環器科に紹介されてきた。症状は心窩部痛だが、発作的な痛みだった。クリニクの先生は有症状時の二トロールを処方していた。短いと2~3分で長くて20分くらいの症状なので、二トロールが効いたかどうか判定しがたい。
症状があったのは8月に1回、9月に1回、10月に1回で、11月は4日と5日にあった。狭心痛だとすると不安定狭心症になる。症状は夜間睡眠時、日中安静時、日中動いた時と一定していない。
心電図と心エコーは異常なしだった。ACS疑いだとそこからさらに検査になるが、血液検査でけっこうな肝機能障害があった。AST 750・ALT 914・ALP 481・γ-GTP 947・総ビリルビン2.6。発熱はなく、炎症反応は陰性。どうしましょうかと循環器科から内科に回されてきた。
患者さんを診察すると、まったく元気そのもので食欲もあるという。その時点で腹痛はなかった。腹部エコーを追加したが、特に所見がなかった。内科クリニックから降圧薬が処方されていたが、新規薬はない。急性肝炎に罹ったようではない。
ウルソ・グリチロンのみ処方して今日再検した。肝機能検査は、AST 59・ALT 261・ALP 402・γ-GTP 625・総ビリルビン1.0と改善していた。腹痛はその間全くなかった。
これは総胆管結石が嵌頓して、排石した時の肝機能の推移と判断される。他の原因で3日後にここまで改善はしないだろう。肝炎はA型も含めていずれも陰性だった。抗核抗体・抗ミトコンドリア抗体まで外注で出していたが、陰性だった(ムダな検査だったかも)。
処方は中止して、来週に肝機能検査とMRCPを行うことにした。狭心症はまったく否定できるわけではないが、おそらく総胆管結石の症状でいいようだ。念のため心臓CTまでするかもしれないが。