水曜日に内科新患に34歳男性が1週間前から続く微熱と咽頭痛で受診した。内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が診たが、口腔内と見える範囲での咽頭の所見は正常だった。咳嗽が軽度にあるが、肺炎らしくはなく、上気道炎として処方するつもりだったという。
患者さんが咽頭痛が続いて気になるので、CTを撮ってほしいと希望された。なんでも祖父が食道癌だったので心配ということだった。飲食物の詰まる感じはなく、食道癌の症状ではない。希望が強いので、咽喉頭をみる目的で頸部~咽喉頭のCTを撮影した。
あまり鼻症状の訴えは難かったが、左鼻腔内と上顎洞の粘膜肥厚・液体貯留(膿汁)を認めた。血液検査では白血球数14400、CRP3.5と細菌感染を示唆する結果だった。
どうしましょうかと相談された。嚥下困難・嗄声もなく、killer sore throatを疑う所見はなかったが、開口しても見えない部位もあるので、耳鼻咽喉科に紹介とした。上~下咽頭の発赤は軽度で細菌感染を示唆する所見はなかった。鼻粘膜の腫脹・膿汁貯留を認めて、後鼻漏もあるという。細菌性副鼻腔炎として耳鼻咽喉科で抗菌薬が処方されて、1週間後の外来フォローとなった。
強く訴えていた咽頭痛は後鼻漏による咽頭への炎症波及ということなのか。最初から耳鼻咽喉科を受診すると、おそらくCTはとらないので、ちょっと珍しい副鼻腔炎のCT像となった。もっとも通常の鼻かぜでもCTで見ると、このような像を呈するとされている。膿性鼻汁も細菌性に限った症状ではないが、この血液検査は細菌性を示している。