木曜日に塩野義製薬の商品説明会があった。宣伝したのは、2018年3月新発売の新規抗インフルエンザ薬ゾフルーザ(バロキサビル)。
バロキサビルはインフルエンザウイルスRNAポリメラーゼのPAサブユニットに結合して、宿主mRNAの切り取りに必要なキャップ依存性エンドヌクレアーゼの作用を阻害して、mRNAへの転写を阻害する。要するに、ウイルスの蛋白合成(ウイルスmRNAの合成)を阻害する。ウイルスのタンパク合成そのものを阻害することから、ノイラミニダーゼ阻害薬よりも早期にウイルス量を抑制する。
さらに1回の単回内服で治療が完結するという利便性もある。成人及び12歳以上の小児には、ゾフルーザ20mg錠2錠を単回経口投与する。12歳未満の小児には、体重40kg以上で20mg錠2錠、体重20kg以上40kg未満で20mg錠1錠、体重20kg未満で10mg錠1錠になる。顆粒は発売準備中だそうだ。
投与された患者の10~20%で標的部位上のアミノ酸変異株ウイルスが分離されている。今のところ、標準株と比較して50~100倍感受性が低下しているが、増殖能も低下しているので臨床上問題にならない。ただし、これらの変異株がさらに変異を獲得して野生株と同等の増殖能を獲得する可能性がある。
この本は最後にQ&Aが付いていて、Q2に「発症後12時間以内は迅速診断キットの感度が低いので、検査まで12時間以上待つべきでしょうか」があった。
「A型インフルエンザウイルスでは発症早期から約95%は検出されており、B型ではA型よりは検出率は劣るものの発症早期でも約80%近くは検出される。私見ではあるが発症後12時間以上まで待つ必要は必ずしもないと考える。」
A型はそんなに発症早期の検出率が高いかなあ、というのが実感。