先週の月曜日に内科新患を受診した73歳男性のことで、内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)から相談された。主訴は2か月前からの両下肢の浮腫と易疲労感だった。
血液検査で、RBC 95万・Hb 4.3g/dl・Ht 13.1%・MCV 137.5の著明な大球性貧血があった。WBC 3800・血小板数12.4万と軽度に減少している。汎血球減少相当だった。白血球分画は問題ない。LDH 879と上昇していた。BNP409.7と増加して、胸部X線で心拡大を認めた。
心不全状態だが、心肺機能の問題ではなく、貧血によるものと判断された(心臓エコー施行)。MCVがここまで高値を示すのは、巨赤芽球性貧血だろう。胃切除術の既往はなく、悪性貧血に相当する。
ビタミンB12は外注検査になる。入院でビタミンB12の投与だけでは間に合わないと判断して、2日間2単位ずつ輸血した(輸血量が多いと心不全の負荷になる)。同時にビタミンB12の投与も開始した。輸血後にHb 6.5g/dlとなり、その2日後にはHb 8.4g/dlと上昇してきた。
治療前の血清ビタミン12は測定感度以下だった(葉酸値は正常域)。胃内視鏡検査は萎縮性胃炎のみ。ビタミンB12の連日投与を隔日にして、あとは外来通院となった。
悪性貧血は数年にひとりくらいの割合でみかける。骨髄穿刺をやってもよかったが、若い先生があまり乗り気ではなかったのと、MCVからまず間違いないと判断されたので、今回は施行しなかった(ビタミンB12の値と治療反応性をみて、必要があれば骨髄穿刺としていた)。