火曜日に地域の基幹病院内科から、94歳男性が転院してきた。敗血症で入院して、血液培養から黄色ブドウ球菌(MSSA)が検出されていた。2週間抗菌薬を投与して軽快したが、一人暮らしのため2週間くらいリハビリをさせてほしいということだった。
転院日の前日に、先方の主治医から連絡が来て、化膿性脊椎炎と判明したので、抗菌薬の投与継続をお願いしたいという。異存はないので、予定通り転院してもらった。送られてきたMRIでは頸椎の病変(C4・5の椎体とその周辺が造影)が描出されていた。
整形外科医からの診療情報提供書もあり、病状の悪化で脊髄圧迫による四肢麻痺・呼吸器筋麻痺もありうること、その場合は大学病院で除圧術が必要になること、しかし超高齢で侵襲的な治療の是非を考える必要があること、などが記載されていた。
血液培養の陰性化確認の意味もあり、血液培養2セットを提出して、抗菌薬の点滴静注を開始した。期間は6~8週間と結構長くなる。
患者さん本人は難聴があるが、元気だった。左上肢のしびれがあるが、それほどひどくはない(らしい)。転院時は、長男夫婦が付いてきていた。患者さんの妻が3年前に当院に入院して亡くなっている、という話が出た。
長男嫁が言うには、嚥下障害があるのに、夫(今回の患者さん)がこっそりと嚥下しにくい食事を持ってきて食べさせたために、誤嚥性肺炎をきたした。それでくやしい思いをしました、とも言っていた。
確認すると、当時89歳の妻を担当したのは当方だった。基幹病院に心不全の悪化で入院した。軽快した(?)が食事摂取の問題もあり、当院に転院になった。転院時から心不全症状があり、利尿薬の投与(静注)を開始してなんとか改善した。
嚥下訓練を開始したが、夫が持ち込みの食事を食べさせて誤嚥性肺炎を来した。それも治療により改善したが、最終的には、肺炎・心不全はあるものの老衰(身長130cm・体重20Kg)と判断されるようになり、お看取りしていた。(正確には誤嚥性肺炎で直接なくなったわけではない)