なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺炎がみるみる回復

2020年06月29日 | Weblog

 先週金曜日の午前3時過ぎに90歳男性が高熱・呼吸苦(正しくは呼吸困難)で救急搬入された。当直の若い循環器科医が、左肺炎の診断(右肺にも少し肺炎)で内科入院として、抗菌薬を1回入れていた。早朝に連絡することもなく、病院に行ってから申し送りとして伝えてくれるので助かっている。

 昨年1月にも左肺炎で内科に入院していた。当時いた内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が担当して、セフトリアキソンの投与で軽快退院している。

 その後、今年の2月に不安定狭心症で循環器科に入院していた。左冠動脈回旋枝(LCX)の狭窄でステントが挿入されていた。ふだんは内科医院に高血圧症で通院している。

 胸部X線・CTで左肺門部から広がる浸潤影を認めて、右肺にも軽度に浸潤影を認める。嘔吐はなく、本来の誤嚥性肺炎が進行していった像と判断した。抗菌薬はゾシン(PIPC/SBT)が入っていた。通常ならばスルバシリン(ABPC/SBT)だが、陰影が目立つ・(超)高齢・両側の肺炎といった点でゾシンにしたのだろう。

 誤嚥性肺炎疑いなので絶食にしていた。内服薬があるので、慎重に飲ませていたが、水を飲んでも明らかなむせはなかった。入院時に酸素4L/分にしていたが、入院後は2L/分(土日は1L/分)に減量できた。金曜日の夕方にいったん38℃の発熱があったが、土日は解熱していた。

 日曜日に日直で来ていた時に病室に見に行くと、入院時は寝込んで発語もあまりなかったが、普通に会話ができた。「腹が減った」と空腹を訴えたが、週明けの病状をみてから出すからもう少し我慢してもらうことにした。

 胸部X線の改善は遅れるため、フォローしなくてもいいことになっているが、肺炎の程度が中等症以上の時は、ひどく悪化してないことを確認するために、72時間後に再検することにしている。

 今日の胸部X線は、悪化していないどころか、びっくりするくらい陰影が軽減していた。身長142cm・体重37kgの小柄な90歳だが、どれだけ丈夫なのだろうか。強靭な免疫力で、ちょっと抗菌薬で手助けしただけで、これだけ回復している。ベットにちょこんと座って息切れもなく話ができる。昼から嚥下調整食4を開始した。

 

 

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