なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

血管確保の請負い

2020年06月02日 | Weblog

 皮膚科に仙骨部褥瘡の86歳女性が入院していた。寝たきり状態で日常生活は全介助になる。やせていて、関節拘縮が目立つ。長男と義理の弟と同居していたが、介護力はないのだろう(故意で放置したわけではない)。

 皮膚科外来を受診して、褥瘡処置が必要なのと、介護力のない家庭にそのまま置けないので入院としていた。点滴(500mlを2本/日)しているうちにしだいに食べる量が増えて(といっても少量)主治医も喜んでいた。

 貧血(Hb7.5g/dl、MCV117)で相談された。胃切除術の既往はないが、血清ビタミンB12 が正常下限で(血清鉄は低下・フェリチンは高値)、ビタミンB12欠乏性貧血としてメチコバール注を追加していた。貧血は軽減してきた(Hb9.5g/dl)。

 退院も考慮し始めていたが、昨夜高熱が出て、低酸素血症・喀痰の増加を認めた。胸部X線では左下肺野に浸潤影があるが、それほどではない。白血球17500・CRP5.8と炎症反応上昇があり、血清クレアチニン3.68mg/dlと入院時より悪化していた(発熱による脱水の影響もあるか)。血清Na164・血清K3.2と高ナトリウム・低カリウムもあった。

 末梢静脈からの点滴が難しく、今日は唯一ここという静脈から看護師さんが入れたが、いつ漏れるかわからない。血管確保を依頼されて、右内頸静脈からCVカテーテルを挿入した。まずは抗菌薬投与と、末梢用の点滴で電解質補正を行う。

 皮膚科の主治医が家族と相談して、中心静脈カテーテルの同意書をとり、病状悪化時のDNARの説明もしていた。内科転科でもいいのだが、以前に血管確保と点滴のメニューだけ依頼された患者さんの例もある(最終的に高カロリー輸液で療養型病床のある病院へ転院)。今回もコンサルト扱いで経過をみることにした。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする