水曜日の昼過ぎに、地域の基幹病院呼吸器内科の先生から連絡がきた。「先生、いつものお願い~」で始まった。2年前にリハビリ目的で当院に入院したことがある、78歳女性の入院依頼だった。
2年前は、非結核性抗酸菌症(MAC)・気管支拡張症・肺アスペルギルス症で呼吸器内科に1か月入院していた。筋力低下でそのまま自宅には戻れず、当院で約1か月リハビリをしてから自宅に退院していた。
自宅で夫と二人暮らしで、夫の介護を受けて生活していた。今回はその夫が慢性硬膜下血種で同院脳外科に入院したそうだ。介護する人がいなくなったので、しだいに動けない・食べられない(食事の用意ができない)となって、その日呼吸器内科の外来に娘さんが連れて行ったのだった。
画像と血液検査ではふだんと変わりないので、社会的な入院になるが、それだと直接当院に入院させてほしいということだった。異存はないので引き受けた。
もともとやせているが、げっそりした感じで車椅子に座っていた。送られてきた画像は胸部単純X線の印刷がぴらっと1枚だけでよくわからない。
来てみると38℃の発熱があり、白血球6800(ふだんは4000)・CRP8.7で、炎症反応が常に陽性の方だが、これは有意に上がっている。胸部CTで確認したが、ここが新規の陰影と指摘するのは難しい(以前の陰影が軽快した部位もある)。
体力低下で通常の細菌性肺炎も合併したとして(たぶん)、抗菌薬(セフトリアキソン)と点滴を開始して、経過をみることにした。
翌日には解熱して、食事摂取できるようになっていた。呼吸器内科の先生の話では、夫も当院にリハビリ転院になる予定らしいので、いっしょに退院できるまで入院させて、ということだった。
処方は、クラリス・アベロックスにブイフェンド(ボリコナゾール)が投与されていた。非結核性抗酸菌症も肺アスペルギルス症も治ってはいない(と先方で言っていた)。時々血痰が出るので、アドナ・トランサミンも処方されている。当院で追加するとすれば、補中益気湯?。
疾患の成立は、慢性副鼻腔炎→気管支拡張症→非結核性抗酸菌症→肺アスペルギルス症、なのだろう。夫のリハビリのでき次第で、自宅退院か施設入所かを決めるようになる。