なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

回腸導管造設術の尿路感染

2020年06月13日 | Weblog

 先週の金曜日に、がんセンターから70歳男性が発熱で紹介されてきた。4年前に膀胱癌で、膀胱全摘・回腸導管造設術を行って、その後は放射線化学療法をしていた。再発なく現在に至るとあった。

 前日突然38℃の発熱があり、がんセンターを受診した。呼吸器症状なし(味覚異常なしとあったのは今どき)、腹部症状なしで、インフルエンザ迅速検査陰性・炎症反応ごく軽度・尿所見正常・胸部X線で肺炎なし、と記載されていた。

 当院受診時は、白血球8600・CRP27.0となっていた(時間経過の問題)。尿は混濁して、細菌(3+)だが、腸管とは分離されているとはいえ回腸導管なので、評価しがたい。

 外来で診察した内科の若い先生は尿路感染症として治療を開始した。抗菌薬を相談されたが、まずはセフトリアキソンで開始することにした。CTで両側腎臓は水腎症もなく、尿路閉塞はないようだ。

 土曜日に日直で病院に来た時も、高熱は続いていた。血圧低下はなく、抗菌薬の効果は3日みないとわからないと思った。土曜日は病院にそのまま泊まって、日曜日に朝に確認した。まだ高熱は続いている。アセトアミノフェンで少し解熱した後に、悪寒がきて高熱になる。

 細菌検査室から、受診時に提出した血液培養2セットからグラム陽性球菌が検出された、と報告が来ていた。すぐ出たので菌数が多いのだろう。

 セフトリアキソンは連鎖球菌・MSSAなら効くが、MRSA・腸球菌には効かない。菌名と感受性が判明するまで、バンコマイシンも併用とした。

 月曜には解熱傾向にみえたが、抗菌薬投与後の日数の問題(3日間使用)なのか、まだわからなかった。火曜日に血液培養2セットからStreptococcus dysgalactiaeが検出された。感受性は問題なくあるので、日数の問題だっただろうか。抗菌薬はビクシリン(ABPC)に変更した。

 非常勤の泌尿器科医にCTをみてもらったが、問題ありません(尿路閉塞などのトラブルなし)ということだった。回腸導管造設術の像は初めて見た。尿道は結紮されているので、盲端になっているそうだ。

 その後は解熱して、熱に関しては安定した。ただ、発熱と同時期に腰痛が発症していて、高熱もひどいが腰痛もひどかった。すると感染巣がどこかという問題が出てくる。無症候性細菌尿+化膿性脊椎炎も考えられた。(続く)

 

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