なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺炎球菌肺炎か

2020年06月28日 | Weblog

 先週の月曜日に、内科医院から発熱の84歳男性が紹介されてきた。

 先々週の金曜日に38℃の高熱が出て、土曜日に医院を受診していた。白血球数は正常域で、CRP10と上昇していた。胸部X線では異常なしと判断された。セフトリアキソンを点滴静注が行われた。

 翌日曜日には少し良かった?らしいが、月曜に高熱があり、受診していた。またセフトリアキソンが点滴静注されたが、悪寒もあり、そのまま紹介となった。

 胸部X線を見ると、右第2弓と横隔のところがシルエットサイン陽性となっていた。胸部CTで確認すると、胸部単純X線から予想したよりも浸潤影が目立った。こういう場合は胸部X線の側面像を撮るとわかりやすいのだろう。

 咳・痰はなく、咳き込んでもらっても痰のからむ様子はなかった。酸素飽和度の低下はないが、軽度の腎障害があり、CURB-65は2点に中等度になる。入院治療とした。

 尿中肺炎球菌抗原は陰性だった(レジオネラ抗原も出してしまったが陰性)。セフトリアキソンを継続すれば軽快するだろうと判断した。翌日の朝(抗菌薬投与前)も痰が出ず、血液培養2セットのみ提出した。

 入院3日目まで、39℃の高熱が続き、アセトアミノフェンの点滴静注(発熱でぐったりして内服しにくい時)と内服を頻回に使用していた。

 肺炎に違いはないと思うが、セフトリアキソンが効かないということは起炎菌が違うのだろうかと迷うことになった。3日の夕方にまた39℃の高熱が出て、患者さんは顔を真っ赤にしていた。クラビット500㎎点滴静注を追加した。

 4日目の木曜日に、通常はやらないが胸部X線とCTで画像を確認することにした。浸潤影は増悪して右下肺野全体に広がっていた。ただ体温は37℃台でちょっといい感じにはなっている。白血球数は正常域でCRP11と、改善はないもののさほど変化はない。

 

 大学病院から呼吸器外来に来ている先生に相談すると、治療しても一時的に悪化するので肺炎球菌肺炎でしょうという。肺炎球菌をカバーする抗菌薬の継続で経過をみていいと言われた。

 ただセフトリアキソンの薬剤熱が疑えるようでもあり、クラビットで継続して方がいいとも言われた。経過から抗酸菌感染は否定的だから大丈夫ですという。確かに急性の経過であり、抗酸菌感染を示唆する陰影はなく、この3日での陰影の進行は抗酸菌らしくはない。

 当院の尿中レジオネラ抗原検査は血清型1以外も検出できるので可能性は低いが、レジオネラ感染も考慮していたので、クラビット継続で行くことにした。低ナトリウム血症やCK上昇はなく、下痢などの肺外症状はないので違うのだろうが。

 木曜日から高熱が出ることはなくなり、金曜日からは平熱で推移した。なにより高熱が続いた時はずっと寝込んでいた患者さんが、ベットの上に座って過ごすようになった。

 

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