なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

たぶん緩徐進行1型糖尿病

2020年07月22日 | Weblog

 内科再来に、脳梗塞で神経内科に入院した82歳女性が入っていた。糖尿病の血糖コントロールの依頼だった。

 月曜日に、前日の夕方から右の視野がかけるという訴えで眼科を受診した。右下四半盲~半盲と診断されて、眼科から頭部MRI検査が出された。 

 拡散強調画像で高信号域が散在していた。左後大脳動脈領域(左後頭葉)の病変が一番大きいが、右中大脳動脈領域と別の左後大脳動脈領域にもラクナ梗塞があった。(MRAではむしろ右椎骨動脈・右後大脳動脈に低形成疑いがあった)

 眼科から神経内科に紹介されて、脳梗塞として入院となった。心電図では洞調律で心房細動はなかった(発作性は否定できず)。意識清明で麻痺はない。患者さんは元気だった。

 

 隣町の病院に糖尿病・高血圧症で通院していた。糖尿病はインスリン強化療法が行われていて、経口血糖降下薬の処方はなかった。入院後に同じインスリンで継続したが血糖が200mg/dl台で、入院時のHbA1cも9.1%と高かったことから、内科紹介になった。

 病室で患者さんにこれまでの経緯を訊いた。50歳代から予備軍といわれていて、その後糖尿病として治療が開始された。10年以上前に通院している町立病院から、大学病院の糖尿病科に紹介したいといわれたそうだ。

 大学病院では1型と言われて、インスリン強化療法が始まった。その後は地元の町立病院に通院している。経過と発症年齢からは緩徐進行1型糖尿病だろう。外注の血中Cペプチドと抗GAD抗体を提出して、確認することにした。

 1型の病名がついてしまうと、経口血糖降下薬はほとんど適応がない(SGLT2阻害薬のスーグラとフォシーガにはある)。実際はインスリン量の調整だけになる。

 持効型は町立病院ではレベミルを使用していて、入院後はインスリングラルギンBSを処方していた(薬局の持ち込み薬確認で同効薬として記載していた)。どちらも効果が24時間持続しないので、トレシーバに変更する(超速型のノボラピッドはそのまま使用)。

 

 視野障害で眼科を受診して、後頭葉の脳梗塞で神経内科に回されるというのはたまにある(数年に1回くらい?)。

 

 

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