水曜日に内科の若い先生から発熱・関節痛の93歳男性のことで相談された。
約3週間前に肺炎・心不全で入院していた。救急外来で診た循環器科医が、肺炎がメインということで内科に入院治療を依頼していた。
年齢を考慮するとかなり厳しい病状だったが(心肺停止時はDNAR)、幸いに抗菌薬投与・利尿薬投与で軽快した。現在は嚥下調整食3を完食している。後は施設入所待ちになる。
ところが1週間前から微熱・関節痛(少数関節炎相当)が出現した。両手関節、両膝関節の発赤・腫脹・熱感があり、特に右膝関節が目立つという。右膝関節穿刺をしていて、細菌(-)・白血球(3+)・針状結晶(-)・棒状結晶(-)の結果だった(通常の顕微鏡)。関節液培養は陰性。
腎機能障害があるので、NSAIDs内服が出せず、湿布で経過をみていたが、症状は続いていた。どうしましょうか、という。症状は少数関節の関節炎で、他疾患は否定的だった。感染症が軽快したと思ったら、発熱・関節炎という経過は結晶誘発性関節炎らしい。たぶん偽痛風だろう。
膝関節と手関節のX線を確認すると、少なくとも右膝関節内には石灰化像がある。除外診断だから確定はできないが、なにしろ関節液培養までやっているので、化膿性ではない(単関節炎ではないので化膿性は否定的だが)。
NSAIDsが使用できないので、ステロイドで治療することにした。プレドニン15mg/日を開始して、3日おきくらいに漸減する。金曜日には一番症状が目立つ右膝関節炎も軽快していた。土曜日からは(土日月)プレドニン10mg/日に漸減して、月曜日に関節所見と検査所見を確認して、軽快してればそこからは2.5㎎ずつ漸減していく。
偽痛風に対するステロイド投与はガイドラインがない。今回は15mg→10mg→7,5mg→5mg→2.5mgと3日おきに漸減でやってみる。