昨日の午後に、呼吸器外来に来ている先生(外部の応援)から、90歳女性の高カルシウム血症について連絡がきた。
高血圧症・気管支喘息・脳梗塞後遺症(ラクナ梗塞)・認知症で通院している。定期的に検査していて、血清カルシウムがそれまで8.2~8.8mg/dl程度だったが、11.6mg/dlに上昇しているという。血清アルブミンが3.6g/dlなので、補正Ca濃度が4-3.6=0.4を加えて、12mg/dlになる。
薬手帳で確認して、別の病院の整形外科で活性型ビタミンD3製剤のエディロール0.75μgが開始されていたことが判明した。そちらの病院の主治医に連絡したところ、薬剤中止してもらってよいという。ただし、高カルシウム血症の治療はそちらでお願いしたい、とも言われていた。
定期検査で気づかれたので、体調不良で検査したわけではない。意識状態はとくに変わりない、倦怠感があるかといえばある、食事摂取はもともと少ないので食欲低下ともいえない、筋肉の把握痛はあるようだがCKは正常域、という。
大至急高カルシウム血症の治療(生理食塩水点滴、ループ利尿薬投与など)を行うほどではないようだ。原因はカルシウム製剤の開始によるので、原因薬剤中止で経過をみてもらうことにした。1週間後に再検にしてもらった。
活性型ビタミンD3製剤の中では、エディロールが一番効果があるので、整形外科でよく処方されていた。これまでビタミンD製剤での高カルシウム血症は数例あったが、いずれもエディロール0.75μgだった。幸いに中止のみで軽快している。半減期53時間とあるから、中止しても2日以上体内に残るので、1週間後は血清カルシウム値が少し低下するくらいか。