なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

angioectasia

2020年07月10日 | Weblog

 先週末に、隣町の診療所から96歳女性が貧血で紹介された。4月にの検査ではHb10g/dl代だったが、6.8g/dlと低下していた。血便があったらしい。

 この患者さんは、4月にも血便で当院消化器科に入院していた。無処置でS状結腸まで大腸内視鏡で検査していて、その上部にも赤黒い出血がたまっていた。輸血を行った後に血便が治まったので、年齢を考慮して十分な前処置を行っての大腸内視鏡検査まではしていなかった。大腸憩室出血疑いとされた。

 担当した内科の若い先生は、輸血を行った後、型通りに大腸内視鏡検査を予定した。96歳で腸管洗浄液がちゃんと飲めるのかと心配したが、患者さんは年齢を感じさせないしっかりとした方だった。ベット上で普通に新聞や雑誌を読んでいる。見た目は若く、80歳?と言われても納得する。

 モビレップでの前処置後に、消化器科で大腸内視鏡検査が行われた。結果は、肝彎曲部に線状の湧出性出血があり、angioectasiaと診断された。電気焼灼術と止血クリップの処置が行われた。

 前回の血便もそこからの出血だったのだろう。前回担当した消化器科医が、3か月後に診断・治療を完遂した形になる。

 消化管の血管性病変は胃や大腸だと診断しやすいが、小腸にあると診断は困難になる。当院では、ダブルバルーン小腸内視鏡検査やカプセル内視鏡はできないので、地域の基幹病院や消化器センターのある専門病院に紹介するしかない。

 出血の原因は今回処置した部位だけかどうかはわからないが、貧血が進行しなければ退院にして経過をみることになる。

 

 

 

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