なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性胆嚢炎、血球減少は炎症で改善する?

2020年07月14日 | Weblog

 6月初旬に地域の基幹病院呼吸器内科から、に87歳女性がリハビリ・施設待ちで転院してきた。

 5月に左肺炎・胸膜炎で入院して治療により軽快した。認知症があり、高齢の夫と二人暮らし。家族は、在宅介護は困難のため施設入所を希望していた。といっても子供たちは訳ありで、息子3人娘1人がいるが、ほとんど関わっていない。

 転院の時に二男が来ていたが、何年振りかでかかわったそうだ。長男は遠方在住で、三男・長女はまったく連絡していない(できない)状態だった。

 

 施設待ちでいいかというと、別の問題もあった。汎血球減少症があり、骨髄異形成症候群(MDS)が疑われるという。ただし高齢・認知症ということで骨髄検査はしていない。経過観察で貧血に進行があれば輸血で対応が必要なので、療養型病床への入院継続も必要になるかもしれない。

 実際に、当院に来てからも貧血の進行があり、6月と7月にそれぞれ2日間濃厚赤血球2単位ずつを輸血していた。断続的な輸血が必要になると、外来通院できる(外来で輸血できる)施設に入所か、輸血の対応を依頼できる療養型病床のある病院への転院を目指すしかない。

 

 昨日の昼ごろから心窩部痛があった。自制可で圧痛は軽度にあるかというくらい。心電図でST低下があるので(慢性心房細動でDOAC内服あり)、むしろ心筋梗塞(下壁梗塞)を心配して心電図を再検したくらいだった。

 夜間に病棟から電話が来て、心窩部痛がひどいのでどうしましょうかという。発熱はなかった。アセリオ注(2番目はソセゴン注の指示)で対応してもらうことにした。先方の病院から送られてきたCT画像で、胆嚢内に胆砂があったなあと思った。胆石胆嚢炎が疑われるので、午前中に腹部エコー・腹部CTで検査することにした。

 午前中に病棟で診察すると、胆嚢炎の所見がある。さっそく腹部エコーを行うと、胆嚢が腫大して壁が肥厚していた。胆嚢結石(小結石と胆砂)があり、さらに胆嚢内はdebrisが充満していた。

 腹部CTで確認すると、胆嚢の所見は同様で胆道系の拡張はなかった。炎症反応の上昇と肝機能障害がある。胆嚢結石・急性胆嚢炎の治療として、緊急手術か胆嚢ドレナージ(PTBGD)を要する。

 外科の先生に相談したが、内科疾患がいろいろあるので、いったんPTBGDを行うにしても、緊急手術になる可能性がある。現在当院外科は麻酔科常勤医も不在となって、待機手術しか組めなくなっている。紹介にしてほしいという。

 基幹病院外科に連絡すると受けてくれたので、救急搬送とした。家族で連絡できる唯一の存在である二男は仕事で他県に出かけていた。夕方なら先方の病院に行けるというが、病院から電話が行くので連絡できるようにしてほしいと依頼した。

 

 それにしても、汎血球減少があり、白血球1100~1300(好中球30~48%)・Hb6.7~7.1g/dl・血小板7.4~11.3万だった。Hbは輸血後なので10.9g/dlに改善しているが、炎症に反応して白血球と血小板もそれぞれ3800(好中球91.0%)・血小板19.7万と上昇していた。

 炎症があると反応する力(チカラ)はあるんだ、と変に感心してしまった。

 

 

 

コメント
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