連休初日の昨日は、内科日直で病院に出ていた。受診数は少ないが、バラエティに富んだ受診だった。
80歳男性。汎血球減少症でがんセンター血液内科に紹介したが、予定された骨髄検査を受けたくないといっていた。Hbが6g/dl弱となって輸血を予定したが、なだめすかして骨髄検査を受けてもらった後にしたため、連休中の輸血になってしまった。
90歳男性。一昨日にお昼前後の3時間暑い中で屋外作業をして大汗をかいた。その後、嘔気とめまいがして食事摂取できなかった。昨日は当番医を受診して、熱中症として紹介された。自分で歩いてきていて、もともとのCKDが脱水による軽度悪化があったが、筋原性酵素上昇はなかった。外来で点滴を2本すると症状軽快したので、入院にはしなかった。
51歳女性。先週末に鼻閉で耳鼻科クリニックを受診して、蓄膿症(副鼻腔炎)の診断で抗菌薬(アモキシシリン)が処方された。その後、両側耳介後部が腫れて再受診した。今度は抗菌薬が変更された(セフジニルとクラリスロマイシンがダブルで処方)。耳介後部の発疹が広がり、全身に発疹が出た。38℃の発熱もあった。
副鼻腔炎の治療(抗菌薬)が必要かどうかみるために、副鼻腔CTを行った。案外副鼻腔に炎症所見はなかった。抗菌薬は不要だ。ちょうど院内に皮膚科医がいるのを見つけたので診てもらった。
発疹は体幹部を中心に四肢にも小紅斑が散在していて、その周囲の発赤が数cm広がっている。中毒疹と表現されるそうで、薬疹とは断言できないそうだ。ステロイドを使用するほどではないということで、抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)で経過をみることになった。
24歳女性。高校生のころに非てんかん性けいれん発作で何度か救急搬入されていた。その後来なくなっていたが、今年の5月に久しぶりで救急搬入された。昨日は職場で意識消失ということで搬入された。心因性とわかっているので、小声で呼びかけるとうっすら目を開けて小声で答えてくれた。これまでなかったリストカットが3か所あった。
点滴とアタラックスPの点滴静注をして経過をみると、気持ちが落ち着いたようだ。なかなか連絡がつかなかった母親が夕方やっと来院した。帰宅していいと伝えて、中断している精神医療センターへの通院を勧めた。
本人も精神科の中ではそこが気に入っている。「担当医は突き放すというわけではないと思うけど」と前置きして、「後は〇〇ちゃん次第だよ、と言われる」と教えてくれた(そう言われても、自分ではどうしようもない)。通院して自分の気持ちを話せるだけでもいいのだろう。受診までのつなぎに、いつものリーゼをお守りとして少し持たせた(母親管理で1回分ずつ手渡す)。
13歳女性。前兆を伴う片頭痛で小児科を受診していた。スマトリプタンとアセトアミノフェンが処方されていたが、母親はまずアセトアミノフェンを内服するものと思っていたそうだ。嘔気があって食事も水分も取れないというので、点滴をして(なぜか片頭痛に効くらしい)プリンペラン静注もした。本人の点滴はしてもいいが、注射(スマトリプタン皮下注)はいやだ?という。内服させようとしたが、嘔気があって飲めないと言っているうちに、寝てしまった。点滴が終わることには落ち着いていたので、頭痛が続けば自宅でスマトリプタンを内服してもらうことにした。
86歳男性。一昨日に誤嚥性肺炎が軽快して入所している施設(介護老人保健施設)に戻っていた。また高熱が出て、救急車で戻ってきた。右肺炎があり、再入院となった。脳梗塞後遺症・嚥下障害・繰り返す誤嚥性肺炎で、胃瘻造設がなされている。経管栄養の継続で肺炎を繰り返す時は、高カロリー輸液にして胃瘻は内服薬注入のみとするしかない。
保健所から、新型コロナウイルス感染症のPCR検査依頼もあった。午後になって、前日のPCR検査(当院ではない)で陽性と判明したCOVID-19の25歳女性を入院させてほしいという依頼がきた。
発熱が1日だけあり、その後嗅覚障害が続いて、PCR検査を受けていた。感染者との濃厚接触歴はない。お笑い芸人森三中の黒沢さんのようだな、と思った。患者さんの全身状態は良好で問題はなかった。胸部CTで肺炎像はない。
発症からの日数では感染性はほとんどなくなっていると思う。高齢者との同居もあり、まず入院という県の指示なので、短期間当院で預かることになる。(当院は軽症から中等症までの担当)
PCR検査も入院も首都圏と比べれば、当地はまだまだのんびりしたものではある。それでも今の感染者増加の状況からは、今後入院依頼はまた来るだろう。