昨日、施設から神経内科に86歳女性がふらつきなどの症状で紹介されてきた。施設入所まで、脳梗塞後遺症で神経内科外来に通院していたことと、症状が神経内科領域のようでもあることからの紹介だった。
検査の結果、以前から指摘されてきた左下葉肺癌が進行していることが判明した。多発性骨転移・肝転移・脳転移を認めた。腫瘍マーカーはCEAとCA19-9が上昇していて、肺腺癌(組織診・細胞診はしていないが)で間違いない。
神経内科医は家族と話をして(付き添ってきた姪が、兵庫県在住の娘に連絡)、できるだけ施設での生活を継続して、施設で対応できなくなった時に入院治療にすることにしていた。
入院の時には内科で診てほしいということで、施設宛の診療情報提供書には当方の名前を記載していた。肺癌の進行期・終末期だと(呼吸器科がない)当院では内科の担当になる。
左下葉の肺癌が多発性に肋骨に転移して、肝臓内の腫瘤と頭部CTで局所的な脳浮腫も転移巣なのだろう。3か月くらい施設でそれなりに生活できるといいが、どうなるか。
今年の1月に内科に肺炎で入院して、内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が診ていた時の画像では、明らかに左下葉に腫瘤がある。家族と相談したが、高齢・認知症で精査は希望されなかった。
2017年まで呼吸器内科の外来(他院からの応援医師担当)で左下葉の結節影が、数年フォローされていた。炎症像としてフォロー中止になっていたが、肺癌の専門医でも経過観察しないとわからないのだろう。その時点でも高齢・認知症で精査の対象にならないが。