12月30日の日直が終わり、当直の若い腎臓内科医に代わった。さっそく外線が入って、救急搬入依頼かと思ったが、施設の嘱託医からだった。
内科の開業医の先生で、嘱託をしている施設に入所中の患者さんの搬入先を探していたのだった。住所は当院の診療圏ではなく、県庁所在地にある施設だった。引き受けたそうで、搬入までに高速道路を使っても1時間くらいはかかる。
もともとCOPDで酸素3L//分を吸入していた。12月21日ごろから抗菌薬を投与して、いったん症状は軽快していたらしい。その日再度発熱・酸素飽和度低下があり、入院治療が必要と判断されていた。
搬入時は酸素飽和度が80%弱(酸素6L/分)で血圧も79mmHgと低下していた。胸部X線・CTでは著明な気腫性変化があり、肺の半分以上が機能していない。浸潤影というより気腫性変化にすりガラスがかったような陰影だった。(高二酸化炭素血症はなかった)
腎機能障害・肝機能障害もあり、敗血症というか多臓器不全になっていた。入院してからすぐに下顎呼吸になっていた。翌31日の午前0時過ぎに心肺停止となり、死亡確認がなされた。(入院時にDNARの方針となっていた)
救急搬入が困難な状況にあると、施設で入院施設を探すことになるのだろうか。医療逼迫になると、施設嘱託医も大変だ。