なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

嬉しい誤算

2023年01月09日 | Weblog

 (2022年)12月5日にCOVID-19の93歳女性が感染病棟に入院した。11月18日から入所していた施設でCOVID-19のクラスターが発生して、この患者さんも21日に発熱で発症した。

 施設で経過をみていたが、発熱が続き、酸素飽和度も低下した。保健所が12月4日に地域の基幹病院に入院依頼をしたが、受け入れが困難で、翌12月5日に空床のある当院に依頼された。

 胸部CTで左肺背側に浸潤影から波及したと推定される胸水貯留と無気肺を認めた。入院した時点で発症15日目になるが、発熱の継続で隔離解除扱いにならないため、感染病棟にいったん入れた。(人工呼吸器をつけるような重症者でも20日間が過ぎれば隔離解除はできる、という推奨があるので20日過ぎに一般病棟へ転棟した)

 コロナの炎症期の像ではなく、誤嚥性肺炎を来した超高齢者が施設内でコロナに罹患したというところだろう。嚥下障害で薬の内服もできない。抗菌薬投与を開始した。

 一般病棟に転棟する時点で胸部CTを再検したが、左肺全体がつぶれてしまい、右下葉背側にも同様の陰影が出ていた。病棟の看護師さんが喀痰吸引を頻回にしていて、いくらでも取れますと言われた。吸引チューブがきれいに?気管に入ってしまうので、確かにこれは誤嚥すると思われた。

 家族に病状は厳しいと説明して、急変時はDNARの方針で同意された。治療を粘るためと末梢静脈からの点滴が難しくなって、CVカテーテルを挿入して高カロリー輸液に切り替えた。

 ちょっと経過がいいかと思われて、胸部X線(ポータブル)で確認すると、左肺に含気を認めた。間を置いて、胸部X線で経過をみると、さらに含気が良くなった。当方の治療ではなく、看護師さんの喀痰吸引のおかげだと思う。

 そのうちに酸素吸入が不要になり、抗菌薬を中止しても再燃はしなかった。粘っても看取りだろうと思われたが、それは長く維持できるかもしれない。食事摂取できるとなおいいが、STさんも病棟看護師さんからも無理です、といわれている。

 

 

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