1月10日に腹痛の75歳男性が救急搬入された。腹部大動脈瘤の術後(大学病院で受けた)と虫垂切除後という既往があった。3日前からの発症で、術後の癒着性腸閉塞の所見ではないが、急性腹症として外科医に依頼したい状態だった。
腹部CTは単純CTだけ行って確定診断できなかったが、基幹病院の外科に連絡して運よく受けれてもらった。
外来に来ていた非常勤の外科医(常勤はいない)と相談して、何らかの血管系の問題ではということだった。心房細動ではないので、上腸間膜動脈血栓塞栓症はなさそうだがという話をした。eGFRが31だったので、輸液をして造影CTを行うことはできたのだった。
その日のうちに返事が出されて、上腸間膜動脈閉塞症で血栓除去の緊急手術を行う方針とあった。当院で造影CTまで行って、診断をつけてから搬送依頼をすべきだった。
急性腹症で痛みが続いていると、検査はするが最初から搬送を考えるようになってしまっている。
「腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するライドライン2018」が出ている。下記の本によれば、「脱水を避ける、生食で点滴をしておく(飲水ではダメ)、薬や透析は必要ない」だそうだ。
造影剤腎症contrast induced nephropathy(CIN)の予防的プロトコールは、生理食塩水を造影開始6時間前より1ml/kg/hで輸液し、造影終了後は1ml/kg/hで6~12時間輸液。現実的ではない。
長澤先生の意見は、eGFR>30ml/min/1.73㎡以上は、あまり心配しなくてもよさそう。30ml/min/1.73㎡未満は、生食250mlを造影前2時間くらいで補液してから造影CTを撮る(ただし著者の私見でエビデンスはまったくないと)。
診断のために必要な時は、できるだけの配慮(生理食塩水の点滴)をして撮る、ということだった。