なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳梗塞だけではない

2023年01月16日 | Weblog

  地域包括ケア病棟に入院している80歳代男性が週末発熱していた。COVID-19に罹患して治癒したが、経口摂取が難しく、CVカテーテルを挿入していた。

 病棟看護師さんからは、酸素飽和度低下や喀痰増加はなく、尿混濁があるという報告だった。血液培養2セットと尿培養を提出する作業をしていた。

 同室の患者さん(82歳男性)を皮膚科医が診察している。左下肢(下腿~足)の発赤・腫脹があり、足背の膿瘍を切開・排膿していた。皮膚科の患者さんかと思ったが、日曜日の日直の時に内科の若い先生が入院させた脳梗塞の患者さんだった。

 

 日曜日に左上肢の脱力で救急搬入されていた。頭部CTでは異常を指摘できなかったが、頭部MRIで右前頭葉に梗塞巣があった。

 左下腿~足の発赤腫脹があり、白血球25700・CRP32.4と著明な炎症反応の上昇がある。糖尿病があり(HbA1c7.9%)、凝固異常(Dダイマー18.1)や腎障害(血清クレアチニン2.06)もあった。

 この患者さんは地域の基幹病院に皮膚筋炎で通院していた。現在はプレドニン6mg/日でそれほどの量ではなかった。糖尿病は同院の糖尿病科に通院してインスリン強化療法を受けていた。

 先週の金曜日に左下肢の発赤・腫脹で皮膚科を受診して、蜂窩織炎として抗菌薬内服が出されていた。

 

 基幹病院は先週末は満床で入院がとれなかったようだ。内科の若い先生が搬送しようとして連絡した時も、満床でとれないこと、さらにクラスターが発生してという話もされたそうだ。(たぶんこれまで通算5回以上発生している)

 頭部MRAで明らかな脳血管の閉塞はなかった。若い先生は感染症による脱水症や凝固異常が、脳梗塞の原因になった可能性を考えていた。

 血液培養2セット提出後に、セフトリアキソンとバンコマイシンで治療を開始していた。入院時に発熱がなかったが、入院後に高熱が出ていた。

 皮膚科医が切開排膿して、検査技師さんに鏡検を依頼すると、グラム陽性球菌が出ていると報告された。入院時と比較して、発赤・腫脹の近位への進展はないようだ。表面に水疱・チアノーゼはなかった。

 皮膚科医の判断は蜂窩織炎・皮下膿瘍ということだった。壊死性筋膜炎とはいえないようだが、相談してMRIで検査することにした。

 

 

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