一人暮らしの89歳女性が救急搬入されて、救急当番だった外科医から連絡が来た。肺癌の脳転移らしいという。介助していたヘルパーが半身の不全麻痺に気づき、ケアマネージャーに連絡がいって、救急要請となった。
当初は脳梗塞疑いとして画像検査が開始された。頭部CTで右大脳の3か所に転移と思われる腫瘤があり、周囲に脳浮腫を伴っていた。胸部X線では一見わかりにくいが、胸腹部CT(原発巣の検索で追加)で左肺門部に肺癌と判断される腫瘤があった。搬入してすぐに、肺癌・多発性脳転移と診断されたことになる。
認知症があり、よく一人暮らししているものだと思った。ケアマネの話では、二男が介護をしていたが、亡くなってしまったそうだ。長男とはもともと疎遠だった。二男が亡くなってからは、長男が責任者になるのでケアマネが連絡をとっていたが、他県在住で仕事もあり、なかなか来てもらえないという話だった。今回はさすがに来てもらわないと困る。とりあえず電話で、入院治療としてよいことを確認した。
午前中に、他院から腎不全・心不全の90歳女性の転院依頼がきていると、地域医療連携室の係りの女性が報告に来た。紹介状に記載してある検査値を見ると、かなり厳しい。当院に移っても改善する余地はなさそうだ。できる範囲で治療しても、お看取りになる可能性が高い旨を伝えてもらったが(主治医と家族に)、それでもいいという。どうも家族が病院に対して不信感をもったらしいということだったが、詳細は来てみないとわからない。