なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

CRPology

2016年05月09日 | Weblog

 昨日一泊で入院とした47歳男性は、夜間に嘔吐や下痢があったが、朝には軽快していた。頭痛で市販の頭痛薬を頻回に飲んだので、その影響だろうか。高校生のころからの頭痛で、閃輝(暗点)・拍動性・音過敏があり、片頭痛だった。

 退院して精神科クリニックへ紹介の予定だったが、電話で連絡すると希望したクリニックは診察まで1週間以上待ちだった。そこまでは待っていられないので、別のクリニックへ連絡した。午後から診てもらえるというので、そちらへ紹介とした。当地域のような郡部は精神科病院はあるが、ビル診のような精神科クリニックはないので、困ってしまう。

 南山堂のホームページで雑誌「治療」のバックナンバーを見ていると、2015年11月号はCRPologyと題したCRPの特集号だった。編集はあのクツナ先生だった。Fujisanで注文していたが、今日届いた。一冊まるごとCRPについて書いているのはすごい。クツナ先生が、世代によるCRPに対する考え方が違うことを書かれている。私も古いので、CRP世代になる。研修医の時、呼吸器科の科長は肺炎の患者さんのCRPが陰性(当時は定性試験)にならないと退院を許可しなかったものだ。これから読むのが楽しみだ。

 「治療」はテーマに興味がある時だけ購入していた。以前は南山堂らしい地味な装丁だった。今は少ししゃれた装丁にはなってるが、まだまだ地味だ。医学書院だったら、表紙も内容ももっとおしゃれにするはずだ。総合診療医向けのテーマにしているらしいが、現場の声には答えいないものが多いと思う。まだ購入していないが、テーマが「The 整形内科」の号は売り切れて、増補して単行本が出た。

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夕方から忙しい救急外来

2016年05月08日 | Weblog

 今日は日直で出ている。午前中は受診が少なかったが、夕方に立て続けに問題のある受診が続いた。意識レベルが低下した101歳女性が救急搬入された。自宅でお嫁さん(当然高齢)が介護している。発熱はなかった。頭部CTでは陳旧性の多発性脳梗塞のみで、麻痺はないので新規の大きな梗塞は否定的だった。胸腹部CTで左肺に陰影があるが、陳旧性と判断された。尿混濁があり、炎症反応上昇があり、たぶん尿路感染症からの悪化と診断した。検査で異常がなければ老衰でどうしようもないが、治療目標はあるので、改善するかもしれない。

 73歳男性は何か病気があると、必ず嘔吐も続くという印象がある方だった。今朝転倒してしりもちをついた。その後から腰痛が続き、嘔吐も続くようになった。けっこう雑な対応だが、胸腹部CTを検査して、胸腰椎を骨条件矢状断で見ると、腰椎L2に新規の圧迫骨折があった。胸腹部は大丈夫のようだ。膀胱瘻の管理もあり、整形外科では圧迫骨折の入院は嫌がるので、整形外科病棟に内科として入院にした。

 救急隊から連絡が来て、中高年男性が運転中に、突然背部痛を訴えて救急要請したという。高血圧症の既往があるが、血圧が90と低下していた。冷汗もある。胸痛はないという。ACS(AMI)よりは急性大動脈解離と判断された。救急隊のいる位置からすると、当院に搬送すると心臓センターのある病院の反対方向に来ることになる。直接そちらの病院に連絡して、急性大動脈解離が疑われると伝える様にお願いした。直接の搬入が困難な時は、また当院に連絡するようにいったが、直接向うことになったという。救命士が点綴できるので、許可の指示を下さいということだった。はたして、無事に心臓センターまで到着できたろうか。

 47歳男性が頭痛が続いて、倒れ込むように診察室に入ってきた。ふだんから頭痛はあるが、昨日からひどいという。すぐに頭部CTを検査したが、明らかなSAHはなかった。点滴と血液検査を提出してから、頭部MRIまで検査したが、微小出血もなかった。検査しているうちに、頭痛は軽減して、受診した時の興奮状態は治まっていた。この方は5年前から単身赴任(県内ではある)していた。奥さんの話では、仕事のストレスで悩んでいますということだった。以前から受診を勧めていたが、応じなかったという。昨夜は両親・妻と、単身赴任と受診の問題で、夜遅くまでもめていたそうだ。不眠が続き、食欲低下・体重減少もあった。家庭に自分は必要とされていないという発言もあった。血液検査は異常なかった。身体的疾患が完全に否定されたわけではないが、うつ病が疑われた。妻は、近所の同年輩の方がうつ病で自殺していて、同じではないかという。家族の希望で、今日は当院に一晩入院としたが、明日妻といっしょに精神科クリニックを受診してもらうことした。(5月16日追記 精神科クリニックから返事。診断はうつ病(中等度)。自宅静養で通院治療となる。)

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詰まった話

2016年05月07日 | Weblog

 昨夜、台所の排水パイプが詰まって、つなぎ目から水漏れした。今日、業者の人に来てもらった。高圧洗浄でパイプにこびりついていた、主に油の塊が出てきて、排水できるようになった。なかなかの出費(適正価格が分からないが)だが、築18年になるので仕方ないか。

 午後から出かけて、図書館と喫茶店で「さあはじめよう!心電図」医学出版を読み返していた。国立病院機構東京病院循環器科の樅山幸彦先生が、循環器科を回る研修医向けに作った本。「まずは薄い本を1冊読み、最低限の診断基準を覚え、日々の診療で実際の心電図をみる」のがよい方法とある。これはあらゆる分野に当てはまる。どのくらい知られた本なのか分からないが、研修医にぜひ勧めたい。循環器疾患28症例が含まれていて、急性心筋梗塞と不整脈は足りないが、それ以外の疾患は循環器を専攻しない研修医には(たぶん)十分だと思う。心電図の解説に診療のコツが出てきて、循環器科の先生から直接聞いたような得した気分になれる。まあ心電図の初心者の向けのいい本を常に探しているということは、レベルの初心者のままで、よくわかっていないということになる。

 医学出版の研修医向け雑誌「レジデント」はオールカラーだが、連載をまとめた単行本になると、2色刷りで大きさもA5版になってしまう。直近の本はオールカラーだが、大きさはA5版だった。オールカラーで雑誌と同じサイズ(A4版変形?)にすれば、さらに売れると思うが(出版社に何の影響もないけど)。

 排水パイプが詰まった日に、心電図の本で冠動脈や肺動脈が詰まった症例を読んでいたというだけの話。

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くも膜下出血のMRI~T2STAR画像とFLAIR画像

2016年05月06日 | Weblog

 昨日当直だった先生から、昨夜受診したくも膜下出血(84歳女性)の患者さんのMRI画像を見せてもらった。症状は明らかな頭痛ではなくて、一過性の言語障害(呂律が回らない)と左上肢の違和感(しびれ感)だったそうで、神経症状との関連はよくわからないという。脳外科医の多数いる脳血管障害の専門病院へ救急搬送していた。

 頭部MRIでは、脳溝に沿ってT2STAR画像でLowに、FLAIR画像でHighに描出されている。MRIの後に頭部CTも検査していて、一致した部位にわずかにHighに写っているが、これだけだと見逃しそうだ。(今回は症状としては脳梗塞を疑ったらしいが)突発した頭痛で発症して、くも膜下出血を疑って頭部CTを検査したものの出血がはっきりしない時は、腰椎穿刺よりは頭部MRIのT2STARとFLAIRで見るといいよ、ということだった。研修医がいれば(いないけど)、ぜひ見せたい画像だ。

 頭部CTではっきりしないので、頭部MRIも検査したが出血はなかったといのが数回あった。大抵はCTでわかるSAHがほとんどで、CTでわからず(はっきりせず)MRIでわかるSAHは初めて見たかのしれない。当直医はちょうどよく神経内科だった。

 ついでに、昨夜入院した腹痛の女性(42歳)と、早朝に救急車で搬入された腹痛の64歳男性を診てねと言われたので、引き受けた。女性の方は以前外来で診て、通常量のPPIで症状が治まらずPPI倍量で軽快した逆流性食道炎(NERDに近い)の患者さんで、久しぶりに会った(関係ないけど、美人さん)。

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当直明け

2016年05月05日 | Weblog

 昨日は久々に当直(宿直)。内科で入院していた急性腎盂腎炎の79歳女性が、入院よりさらに高熱(40℃)になり、意識レベルが低下した(便失禁)。頻脈気味だが、血圧は130でその時点では安定していた。眼球が左右に動いていて、朦朧状態だった。半身麻痺の疑いもあり、脳血管障害を併発を疑ったが、頭部CTは少なくとも出血を認めなかった。

 その日の点滴は終了して、ロックされていたので、点滴を追加して早めに入れ始めた。そのうち、意識も回復しきて、頭痛・嘔気などの症状の有無を返事するようになった。尿培養だけだったので、朝に抗菌薬が入っていたが、血液培養を2セット提出して、抗菌薬を変更した。持続点滴の指示を出していたが、大量の発汗があった後に、血圧が90台から70台に下がって、意識レベルがまた低下した。

 大量発汗のためかもしれないが、敗血症性ショックにとして、側管から点滴を速度を上げて追加投与した。1000mlが入ったところで、血圧が90以上に上がってきた。側管からの点滴のスピードを漸減して中止した。今朝は血圧120台で、解熱して普通に話ができるようになった。やれやれ。

 日直の先生が診た嘔吐・軟便・腹痛の20歳台前半の男性は、点滴を受けて帰宅予定だった。帰宅にしますと申し送られていたが、会計中にまた嘔吐した。外来ベットに戻って点綴を再開したが、入院を希望した。まあそうでしょう。今朝まで点滴を継続していたが、昼から食事の希望があり、全量摂取だった。予定の点滴を減らして、明日には退院できそうだ。

 何年もめまい(浮遊感)を訴えている高齢女性2名が受診した。ひとりは家族に連れてこられたが、もうひとりは救急搬入だった。いずれも何回か検査を受けていた。前者は小脳梗塞の既往があり、その後めまいがひどいと訴えるたびに頭部MRI検査で新規病変なしの結果だった。後者は転居によって他県の病院から当院の神経内科に紹介されて、先月受診していた。こちらは明らかな脳血管障害はない。うつ病という診断もあった。

 両者に点滴をして、めまいの薬としてメイロン(機序とし効かないが、看護師さんがめまいの注射をしますと言って入れる)、さらにアタラックスPの点滴静注を行った。(たぶんアタラックスPの効果で)それぞれ症状改善して帰宅となった(特に後者には効いた)。なんだか怪しい治療をしている感じはあるが(一応めまいの薬ではある)、なにしろ仕事が多くて忙しいので、助かっている。

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連休の途中

2016年05月02日 | Weblog

 昨日は日直の後に、当直医が外科の先生なので、院内に泊まって待機していた。入院は外傷の高齢者と急性虫垂炎の若い女性で、内科の入院はなかった。めまいと腹痛の高齢者が救急外来を受診したが、外来での治療で帰宅になっていた。

 先月に心窩部痛・食欲不振で入院した91歳女性は、施設で処方されたNSAID(ジクロフェナク)による潰瘍だった。胃前庭部に1か所と、十二指腸球部から後球部にかけて前後壁に計6か所の潰瘍を形成していた。点滴とPPIの静注で治療を開始して、数日後からやっと流動食を少し摂取できた。その後、五分粥から全粥と1週間おきにゆっくりとした上げ方で進めた。患者さんがすぐに上げることを希望しなかった。

 そろそろ退院できそうなので、今日内視鏡検査を再検した。胃潰瘍ははA2からH1へ、十二指腸潰瘍はA1-2からH2~S1へと軽快していた。NSAID潰瘍なら薬剤中止で早く治るかとも思ったが、ゆっくりとした回復だった。連休明けに退院としたが、施設では、今処方しているタケキャブを処方してくれるかどうかわからない。2か月分退院時処方を出して、当院外来でもう1回内視鏡検査を行うことにした。

 休み中に嚥下障害で経管栄養や点滴だけになっていた高齢者(94歳と85歳の男性)が、誤嚥性肺炎をきたして抗菌薬を再開した。今日はそれぞれ解熱していたのでちょっと安心。これからどうもっていくか。CVカテーテル関連血流感染となった83歳男性は、血液培養でMRSEが検出された。カテーテルの抜去自体で解熱はしていたが、バンコマイシン点滴静注を継続している。

 看護師さんの高校生の息子さんは、高熱と下痢(水様便頻回)が続いていて、解熱した後も下痢が続いていた。昨日便検査を行ったが、カンピロバクター腸炎と判明した。同じラーメン屋で食事をした仲間が同様の症状だったらしい。

 COPDの肺炎併発による急性増悪で入院した70歳女性は、症状軽快して今日から食事を開始した。東京から唯一の身内である姉とその娘(姪)が面会に来ていた。タバコを止める様に言ってもきかなくてという。電話は頻回にしていたらしい。退院すればまた喫煙再開だろうか。

 連休が始まってまだ前半戦だ。この後まだまだ休みは続くが、大物が来ないことを祈る。「ねこまき」さんの漫画本をkindleで購入。紙の書籍だとカラーは一部だが、電子書籍だとオールカラーになる。

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扁桃周囲膿瘍?

2016年05月01日 | Weblog

 今日は(も)日直ででいる。29日に日直の後、そのまま病院に泊まっていた。30日の早朝に一過性意識障害で85歳女性の救急搬入要請があり、その後意識は戻ったが40℃の発熱があった。当直医から、今から救急車が来ると話を聞いていた(糖尿病・高血圧症で外来通院しているので知っている)ので、いっしょに診ることにした。まずインフルエンザ迅速試験は陰性で、肺炎か尿路感染かと検査をすると、尿路感染症(急性腎盂腎炎)だった。CTで右腎臓がや腫大して周囲脂肪織に炎症像がある。尿培養・血液培養2セットを出して、セフトリアキソンで治療を開始していた。今日細菌検査室から連絡が来て、血液培養からグラム陰性桿菌が検出されているという(中間報告)。まだ38℃の発熱があるが、本人は元気で食欲も良かった。認知症があり、熱があるので風邪薬を下さいとしきりに言う。先月インフルエンザに罹患していた。

 昨日発熱があった85歳男性は、もともとは尿閉からの尿路感染症で入院して、軽快していた。数日前に後頸部痛を訴えていたが、昨日発熱があると連絡が来ていた。意識は清明で今回間欠的導尿から尿カテーテル留置になっていて、混濁はなかった。今日頸椎偽痛風を疑って頸椎CTをとってみたが、はっきりしなかった。昨日からNSAID内服を開始していたが、今日は解熱して元気だった。

 48歳男性が昨日からの咽頭痛(嚥下痛)と高熱で救急搬入された。唾を嚥下すると激痛がある。開口はできるが、つらそうで大きくは開けられない。ひだり扁桃が腫脹して正中まで出張っている。扁桃自体が可能しているかどうかは見えなかった。呼吸困難はなく、横臥はできるというので急性喉頭蓋炎ではないと思われた。顔から上胸部までCTを撮影して扁桃の腫脹を確かめた。耳鼻科救急はこの地域で対応できる病院はないので、大学病院の耳鼻咽喉科に連絡して救急搬送とした(搬入直後に搬送は決まったので救急隊はそのまま待っていた)。あとで画像をみると咽頭後壁が腫脹している。これは咽後膿瘍?。気道は通っているが、思っていたよりさらに重症だったか。

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