なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

紫斑病性腎炎

2016年07月08日 | Weblog

 アレルギー性紫斑病で入院した87歳男性は、ステロイド投与で紫斑自体は消失して、腹痛もなくなった。上昇していたDダイマーは低下したが、正常域にはなっていない。ただ、当初は尿蛋白・尿潜血陽性だけだったが、血清クレアチニンが上昇した。血清アルブミンも低下して、ネフローゼ症候群相当だ。今は紫斑病性腎炎の患者さんとなった。

 もともと糖尿病があり、DPP4阻害薬+SU薬少量で治療していたが、ステロイド投与後は食前血糖が200~300mg/dlとなって、インスリン強化療法を開始している。食前血糖120~180mg/dlなので、もう少し調整が必要だ。

 血清クレアチニンが上昇した3日後の検査で、クレアチニン値が少し改善してきた。ステロイドの減量はまだ見合わせている。血糖コントロールをしながら、ステロイドとジピリダモールで頑張るしなかい。

 先月から始まった地域包括ケア病棟(正確にはまだ予行演習)は、患者数がなかなか増えなかったが、やっと患者数確保ができるようになってきた。基本的に直接の入院ではなく、一般病棟からの転棟で運営していく。少し療養してから自宅退院する患者さんや、施設待ち(住所が施設になるので自宅退院扱い)の患者さんが主になる。60日以内に退院できれば何でもいいので、DNRとなった癌終末期でもいいのだという(死亡で自宅退院だから)。糖尿病教育入院の患者さんを、1週間一般病棟で診たあとに転棟させるのもいい適応だった。

 医師確保のため奮闘している院長先生は大変だ。挨拶とお願いに行った教授に、邪見に扱われたり嫌味を言われてストレスが溜まっているようだ。愚痴を聞いたり、そのうち良い方向に行きますよと慰めたりしている。根拠は希薄だが、多分少しずつ良くなるはず。

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Lemierre症候群

2016年07月07日 | Weblog

 日曜日の日直の時にのどの痛みと高熱、さらにせん妄で65歳男性が救急搬入された。翌日の耳鼻咽喉科受診では、扁桃炎はなく、喉頭披裂部の浮腫・発赤を指摘された。抗菌薬投与で解熱してきて、昨日の耳鼻咽喉科再診では炎症は改善と判断された。右耳下腺と頸部の腫脹・圧痛があり、今日頸部エコーを行った。結果は内頚静脈内に血栓形成があり、鎖骨下静脈にも及ぶという。周囲のリンパ節も耳下腺も腫脹していた。

 1か月前に左扁桃炎で2週間くらい咽頭痛が続いたそうだ。受診はせず、薬局で薬(鎮痛薬かを購入して飲んでいた。そのうち右頸部が痛くなり、首が回しにくくなった(開口もしにくかった)。搬入数日前から高熱とのどの痛みで飲み食いできず、脱水症から腎前性腎不全を呈した。

 これまで診たことはないが、扁桃炎後の感染性血栓性内頚鉱脈炎、つまりLemierre症候群のようだ。まだ腎機能は正常化していないので、点滴を継続している。腎機能の正常化を待って、頸部~胸部造影CTを行うことにした。搬入時に提出した血液培養の結果はまだ出ていない。

 この方は妻子がいたが、20年前に離婚していた。住所が書いてあったが、そこには住んでおらず、車の中で生活していた。MSWに依頼して、生活についての相談をしてもらうことにした。身なりはそんなに問題なく、小ざっぱりとしていると看護師さんんも言っていた。入院してから話をした限りでは穏やかな人だった。当院で診ていて大丈夫かとも思うが、これは何科の扱いになるのだろう。

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透析再開

2016年07月06日 | Weblog

 今日は内科再来を診ていた。珍しく受診数が少な目だったので、検査結果待ちの間に数人分の外来サマリーを記載できた。93歳男性が娘さん(といってもそれなりに高齢者)といっしょに受診した。処方は単純で、降圧薬1剤と抗血小板薬のみだった。4年前に一過性意識消失をきたして2回救急搬入された。2回目の入院の時に担当したのが始まりだった。頭部MRI・MRAで左中大脳動脈が極端に狭窄をきたしていたが、新規の脳梗塞はなかった。数十年前に胃切除術を受けていて、2年間からは胃切除術後のビタミンB12欠乏性貧血でメチコバール注も定期的にしている。

 この方は一人暮らしで、病院受診の時だけ娘さんが連れてくる。ヘルパーさんが食事を作るために訪問しているそうだ。3週間前に体調不良が1週間続いたが、病院受診をかたくなに嫌がって結局受診しなかったという。食事がとれなくなって寝込んでいたが、発熱はなかった。毎日畑仕事をしているので、熱中症になったのがきっかけかもしれない。「体調が良くなったので病院に来ました」というのは高齢者で時々ある。

 医局のボードに「透析拒否患者。受診時は透析担当医にすぐ連絡」と赤で記載されていた。63歳男性で、この方の糖尿病の治療を担当していた。7年前に奥さんに連れられてしぶしぶ受診してきた。糖尿病はずっと以前から指摘されていたが(健診の結果)、受診していなかった。当時56歳だから、通常奥さんが付き添ってくることはないが、無理にでも連れて来ないと受診しないのだろう。

 初診時、HbA1cが13.4%だった。尿蛋白も陽性だった。入院は拒否したので、外来でインスリン注射を導入した。インスリン強化療法と経口血糖降下薬を組み合わせて、HbA1cは6%後半から7%前半になった。ずっとその値をキープしていたが、血清クレアチニンが次第に上昇して、3年後に2台になって、5年後に6台になった。腎臓内科に通院になって、血清クレアチニン8で血液透析導入が予定された。予定されたが、患者さんが透析を拒否した。腎臓内科医に、「同意してもらえません。どうしましょう」と相談された。「奥さんがしっかりしているので、奥さんに任せましょう」、と伝えた。奥さんの説得で、しぶしぶ透析導入となった。

 先月、透析継続を拒否という話を聞いていた。困ったなあと思ったが、病院としては電話で受診を勧めることしかできない。どうなるかと思ったが、結局肺水腫+全身浮腫で今日受診して、さっそく透析再開になったそうだ。この方は今の病院に来てから初めての透析導入の患者さんで、導入になった時はすごくガッカリした。

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「ぜんぶわかる 認知症の事典」

2016年07月05日 | Weblog

 101歳女性が亡くなった。2か月前に誤嚥性肺炎で入院して、抗菌薬投与(ABPC/SBT)で治癒した。嚥下訓練を行ったが、食事摂取は難しかった。嚥下障害はあるが、全体に衰弱していた。家族に、高カロリー輸液や経管栄養の適応はないと説明して、同意された。最小限の点滴をしながら(500mg/日を最初は点滴静注で、その後は皮下注)、アイスクリームを数口食べていた。2週間くらい前からはまったく食べなくなっていた。家族の了解を得て、病名は老衰とした。

 肝細胞癌の95歳女性が食欲低下・倦怠感で再入院になった。ステロイド投与で短期間元気だったが、効かなくなったようだ。肝腫大が目立つ。今回は退院できそうもない。緩やかに悪化していくと見込まれるが、肝破裂で急死する可能性があることも、改めて家族に伝えた。

 日曜日の日直の時に、転倒して救急搬入された施設入所中の62歳男性(筋強直性ジストロフィー)は肺炎・左上腕骨(近位端)骨折で内科に入院していた。昨日整形外科医に相談したが、手術は行わず、整復して外固定となった。昨日は食べないと言い続けていたが(希望で個室に入院したが、隣室から大きな独り言がうるさいと苦情あり)、今日はソフト食を食べていた。

 同じ日に回転性めまいで救急搬入された53歳男性は、断続的に回転性めまいが出現していた。めまいと同時に耳鳴と難聴が起きるかというとそうでもない。めまいがない時の聴力検査は異常なし。昨日今日は軽快していた。確定はできないが、メニエールかなあという診断(あいまいだ。正確には内耳性めまいとしかいえないかも)で退院して耳鼻咽喉科外来通院となった。

 精神障害者施設に兄弟3人で入所している62歳男性が今日3度目の受診をした。経口抗菌薬で治療していたが、今日は胸部X線の陰影と血液検査((炎症反応)がいずれもはっきり改善していた。このまま外来治療でいけそうだ。

 糖尿病・糖尿病腎症・ネフローゼ症候群で通院している47歳男性は、先週の検査で血糖コントロールが悪化していた。HbA1cが9.9%。入院治療(インスリン注射導入)を勧めたが、したくないという。飲酒・喫煙はやめていない。3年間前から当院に通院し始めたが、以前は地元の病院に通院していた。そこの院長先生である糖尿病専門医が診ていた。いろいろ言われるのがイヤで中断していた。当院受診時のHbA1cは10.2%。その時も入院治療は拒否した。経口血糖降下薬で何とか6%台後半から7%前半で推移していた。初診時から神経障害があり、血糖はゆっくり改善させたが、しだいに悪化していた(posttreatmentも否定できないが)、眼科で硝子体手術も受けている(他の病院)。前の病院でインスリン注射と血糖測定もしていたので、外来でやるという。まず超速効型インスリン毎食直前で開始した。今日血糖自己測定の結果を見せてもらうと、案外低下してきている。来週また受診してもらうことにした。

 オールカラーで見やすいので、「ぜんぶわかる 認知症の事典」成美堂出版を購入した。あの河野和彦先生監修で、一般的な検査・治療とともにコウノメソッドも併記している。「医療、介護関係者必読の1冊」とあるが、専門外の医師にもこれで十分かもしれない。とにかくわかりやすい。

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外来サマリー

2016年07月04日 | Weblog

 電子カルテが導入されて、外来カルテをまとめて外来サマリーとして入力しなければならないが、外来が忙しくてはかどっていない。数年間診ていた患者さんだと書きやすい。最近他の先生から回ってきた患者さんだと、病名・検査結果・処方を書くだけなら簡単だが、経緯がわかるように書こうとすると手間がかかる。

 今週受診した77歳男性は、高血圧症・糖尿病で10年以上前から内科に通院していた。ラクナ梗塞で脳神経外科(当時。現在脳神経外科はない)に通院して降圧薬の処方を受けていた。検査で糖尿病と判明して、合わせて治療を開始していた。SU薬が最大量処方されても血糖コントロールが悪く、内科の糖尿病外来(大学から。担当は高血圧専門の先生)に紹介された。さっそくインスリン注射が開始されていた。

 その後、その外来が担当医の留学でなくなって、内科外来(やはり大学からバイト)に来ていた先生の外来への通院になった。その先生が後で常勤医となって継続して診ていた。処方の変更がいろいろあったが、その先生が退職して、こちらに回ってきた。

 降圧薬は4剤内服して、脂質異常症の処方もある。糖尿病では、SU薬とピオグリタゾンの合剤、メトホルミン、持効型インスリン、GLP1受容体作動薬で、それに最近SGLT2阻害薬が追加になっている。これでHbA1c6%台後半から7.5%の間で推移していた。患者さんによると、退職した先生はインスリン量を減らしてもらうようにと言っていたそうだ。何だか複雑な印象をもつ処方だった。

 前回初めて診て、忙しかったのでdo処方にして流していた。今回改めて処方を見て、さあどうしようと思った。この患者さんはやせ形で、インスリン分泌自体が少ないタイプらしい。まず血中Cペプチドを測定して、結果をみて検討することにした(念のため抗GAD抗体も)。少量の利尿薬も処方されているが、浮腫性の疾患を診ていた様子はないので、休止でもいいのか。

 ピオグリタゾン15mgは中止して、メトホルミンは1000mg/日はこれまで継続していたので一応続けるが、年齢を考えていずれ500mg/日に減少、さらに中止になるかもしれない。SU薬はグリメピリド1mg/日で、これは減量を考慮しながら継続しておく。GLP1受容体作動薬は、DPP4阻害薬に戻してもいいか。SGLT2阻害薬は処方されて間もなく、とくに副作用もないので継続など。考え出すときりがない。HbA1cから見てまずます良いので、そのまま継続でいいのかもしれないが、いじりたくはのは当方の治療がいつも単純すぎるから?

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夏休み明けの日直

2016年07月03日 | Weblog

 木~土曜日に休みをとって、金沢・能登に出かけていた。3日休んで、今日は日直で出てきた。幸いに午前中の受診数は少なく、ゆっくり仕事を始めることができた。

 病棟では、入院していた胆管癌の86歳男性が亡くなった。昨年8月に黄疸で発症して、地域の基幹病院消化器科でステントを挿入した。腫瘍内科で行った抗癌剤治療は副作用で中止となり、本人と家族がそれ以上の治療を希望しなかったので、緩和ケアのみとなった。当院に紹介されてから数回胆管炎で入退院を繰り返して、何とか治癒(昔の言い方で略治というのが適切かもしれない)していた。癌に対して無治療のまま1年経過して今回の入院では大分弱っていた。昨夜から悪化し始めて。看護師さんが必要時の指示を組み合わせて対応してくれていた。

 外来に88歳女性が受診して、看護師さんから癌で明日受診予定の方ですと報告があった。循環器科外来に高血圧症・心房細動で通院していた。月1回の受診で、採血の中に肝機能検査も毎回含まれていた。先月まではほとんど異常がなく、先週末の検査で肝機能障害が出現した。消化器科で腹部造影CT検査を行うと肝左葉に肝内胆管拡張と腫瘍を認めた。CA19-9が1万以上で、肝内胆管癌と読影レポートが出ていた。食欲不振・倦怠感かと尋ねても、それはずっと前からで、今日は便秘なので浣腸をしてほしいというのが受診理由だった。もともと心気症的な訴えをする方らしい。画像を見て入院かと思ったが、案外元気だった。明日消化器科の外来予約がある。

 施設入所中の63歳男性が、転倒して頭部を打撲して、救急搬入された。施設で測定した酸素飽和度が室内気で70%台だという。酸素10L/分リザーバー付きで搬入された。筋強直性ジストロフィーで10年前から入所しているそうだ。夜間にはBiPAPを使用している。胸部CTで見ると右背側に肺炎と思われる浸潤影があった。それでも酸素飽和度はしだいに上昇して、酸素2L/分まで下げることができた。精神遅滞があるようだが会話はできる。頭部CTで異常はなかったが、左肩を痛がっていたので撮影したところ、左上腕骨の骨折があった。この方は昨年に胆石性急性胆嚢炎、さらに総胆管結石となったが、本人家族と相談の上、手術はしない・内視鏡治療もしない(専門病院からも無理と言われた)という結論になった。保存的治療でダメなら仕方ないとなったが、幸いに治癒した。明日整形外科医と相談するが、骨折の治療はどうなるのだろうか。少なくとも酸素飽和度が低い状態ではしないので、内科に入院とした。

 日直が終わる時間に、63歳男性が受診した。この方は一人暮らしだが、今日は突然離婚した妻の家に行った。言動がおかしいため、元妻が子供たちといっしょに病院に連れてきた(せん妄だろう)。高熱があり、びっしょりと汗をかいている。咽頭痛と発熱が昨日からあり、食事も水分もとっていないという。扁桃炎で発熱したことがあると言っていた。扁桃を観察しようとしても良く見えない。呼吸苦はなく、横臥した状態でも苦しくはないので、喉頭蓋炎は否定的と思われた(確信はないが)。なるべく刺激しないようにしたつもりだが、嘔吐させてしまった。横臥できるので顔面~頸部をCTを見たが喉頭蓋炎はなかった。扁桃周囲膿瘍もはっきりしなかった。実際は数日前からの脱水症らしく、腎前性腎不全になっていた。入院して点滴と抗菌薬投与を行って、明日耳鼻咽喉科外来(大学病院から)で診てもらうことにした。

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肺炎・肺膿瘍

2016年07月01日 | Weblog

 今週60歳男性が下痢・発熱で内科医院から紹介されてきた。グループホームの職員が付いてきていた。2週間前に下痢・発熱でその内科医院を受診していた。たぶん感染性腸炎として、整腸薬と抗菌薬(レボフロキサシン)が処方されていったん軽快したそうだ。また同じ症状が出現して、診断治療に苦慮しておりますとあった。

 この方はもともと精神遅滞(この言い方はまずいのかも)があり、兄弟2人も同様で、同じ施設に入所している。両親はすでに亡くなっていて、親戚の方が責任者になっていたそうだが、今は音信不通になっている。精神科病院から抗精神薬が処方されていた。点滴を受けてくれるかどうかと訊くと、外来で1本くらいなら自分が付き添っているが、頻回の点滴は厳しいでしょうという。入院中の付き添いは当然できない。

 腹痛について訊くと、痛いとは言わないそうだ。食事はいつもより少な目だが摂取できていた。ちょっと咳込むこともある。下痢について訊くと回数は2回くらいで、水様便多量ではない。そもそも普段から下痢気味らしい。紹介状の下痢があやしくなった。むしろ発熱の患者さんとみた方がいいようだ。

 胸部X線で左肺に陰影を認めた。胸腹部CTを撮影すると、左肺下肺野背側に浸潤影とその内部に膿瘍を疑う陰影を認めた。最初の症状から肺炎によるものと判断される。感染性腸炎として投与された抗菌薬が一時的に効いたのだろう。痰はからんでいない。無理に吸引するのも難しそうだ。

 これは結核ではないだろうな、ユナシンかゾシンで治療すべきかな、入院治療になじんでくれるかな、など考えてみた。結局抗菌薬経口(嫌気性菌カバーのキノロン)で少し経過をみることにした。まずいことになりそうな気もしながら。経口薬ならオグサワ(オーグメンチン+サワシリン)の方がいいのだろうが、服薬回数が多い。その施設は精神障害者が共同生活をしていて、職員はずっといるわけではないそうだ。

 2日後に受診すると、解熱して元気だった。そのまま経口抗菌薬を継続とした。

 

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