なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

伝染性単核球症?

2017年11月20日 | Weblog

 34歳男性が先々週の土曜日(9日前)に咽頭通で発症した。近くの医院を受診して、溶連菌迅速検査は陰性だった。クラビット内服が処方された。翌々日の夜から発熱(37℃台)があり、6日前に同院を再受診した。アデノウイルスとインフルエンザの迅速試験は陰性だった。高熱が続いて、4日前の先週木曜にも受診して当院内科外来に紹介された。

 咽頭の発赤を認め、白血球数増加・CRP上昇・肝機能障害があった。アセトアミノフェンのみ処方されて、翌週の月曜日に経過をみるため予約になった。発熱が続いて、食事摂取も少なくなり、土日に続けて受診していた。日直医(大学病院からバイト)が胸部X線・胸腹部CTを施行して、肺炎はないと判断された。外来でゾシンの点滴静注を行っていた。

 今日は予約日で、内科新患担当の先生から高熱が続くので入院治療をお願いしますと連絡が来た。患者さんは独身で一人暮らしだった。両親はちょっと遠方に住んでいる。理知的な印象の方だった。

 咽頭は発赤が軽度で右扁桃に白苔が少量付着していた。前頸部・後頸部リンパ節腫脹があるが、小指頭大だった。腹部CTで脾腫がある。肝機能障害は軽度から中等度で、ウイルス性肝炎というより脂肪肝のパターンだった。白血球分画は単球が10%前後で異形リンパ球とは判読されていない。

 どうも抗菌薬は無効であり、年齢的には伝染性単核球症だろうか。EBVよりはCMVの年齢だが。耳鼻咽喉科医(大学病院から)にも診てもらったが、咽喉頭に化膿巣・膿瘍はなかった。少なくともkiller sore throatではない。念のためと扁桃の培養を出してくれていた。内科でも血液培養2セットを提出しておいた。

 入院で点滴とアセトアミノフェンで経過をみることにした。EBVとCMVがいずれも陰性ならHIVも提出する。

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「ジェネラリストのための精神症状」

2017年11月19日 | Weblog

 「ジェネラリストのための精神症状」上田ゆかり著(金芳堂)を読んだ。循環器、神経内科に続いての金芳堂のシリーズものになっているらしい(装丁が違うのでヒンとこないが)。

 これで精神科の病気が全部わかるというものではないが(目的が違う)、一般医がこのくらい知っていれば日常診療であまり困らない、専門医への紹介がスムーズにいくという内容になっている。

 歌舞伎の評論もされている著者の、精神疾患と関連のある歌舞伎の話がコラムとして挿入されている。歌舞伎がさっぱりわからないものにも、内容がわかった気になるように上手に書かれていた。これはお勧めの本だ。精神科疾患の症例集も書いていただくと、もっと精神科がわかりやすくなるはずだ。

 参考図書にあった「心の診療100ケース」(MEDSi)も訳本(外国人の症例)ではあるが、購入してみようかと思う。

 

 

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心拍のみ再開

2017年11月18日 | Weblog

 金曜日に、外科医が47歳男性心肺停止の救急搬入を受けた。路上で携帯電話で話をしていて、急に倒れたそうだ。搬入時は心肺停止・瞳孔散大だった。心肺蘇生に反応して、心拍が再開した。人工呼吸を継続して撮影した頭部CTでくも膜下出血を認めた。

 心拍は持続していて、地域の基幹病院の救急科に搬送した。脳外科医は3名いるが、脳外科の処置がなければ救急科で診るのだろうか。予後はもちろん厳しいだろう。脳ドックを受けていれば、予防的な処置ができるのかもしれないが、現実的には難しい(健診者全員頭部MRI・MRAになる)。

 外科医はその前に紹介されてきた急性虫垂炎疑いの患者さんの検査を出していた。心肺停止の救急搬入があるのでと、後輩外科医にそちらの患者さんの診察を依頼していた。病院を出る時に救急搬送からちょうど帰ってきた外科医と会ったが、相当疲れた様子だった。お疲れさまです。

 

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浮腫は合わせ技?

2017年11月17日 | Weblog

 C型肝硬変で通院している88歳女性が、2~3週間前から浮腫が悪化して、咳・喘鳴もあると受診した。確かに両下肢が浮腫でふだんより大分太くなっている。胸部X線・CTで肺うっ血がある(胸水はごく軽度で腹水はない)。

 肝硬変によるかというと、腹水がないので違うようだ。心拡大はあるが、EF64%と良好だった。ASの雑音が聴取されるが、エコーではOpeningは保たれていた。3月から心電図で左脚ブロックを呈しているが、asynergyはないとある。血清クレアチニンは1.5~2.0で推移しているが、悪化はなかった。甲状腺ホルモンも正常域。

 血小板減少(10万)と貧血Hb8~9g/dlがあり、今日はHb6.6g/dlと低下している。タール便はなく、BUNの有意な上昇もなかった。希釈された影響もある?。何による浮腫の悪化ともいいきれないが、消化管出血(今々ではなく)があって貧血が加わって、全体的に悪化したのだろうか。

 利尿薬はもともと下肢の浮腫があり、ダイアート30mgのみ処方していた(血清Kが上限値)。今日(今)は喘鳴は聴取されず、酸素飽和度は室内気で97%ある。食欲良好で難聴があるが、元気によくしゃべる。利尿薬を内服で追加して経過をみることにした。スピロノラクトンとサムスカ少量を追加して、血清Na・Kと胸部X線を再検とした。

 CTで肝右葉に腫瘤像がある。造影はできないので、来週腹部エコーをしてMRIも考慮することにした。

 

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胃瘻造設、タイヤ交換

2017年11月16日 | Weblog

 誤嚥性肺炎で入院した筋委縮性側索硬化症(ALS)の69歳男性は、抗菌薬投与で肺炎は軽快した。

 地域の基幹病院神経内科を定年になった先生が、当院神経内科外来の新患担当をされている。連れて行って精査の予定だったが、肺炎で入院してしまったので、当院のひとり神経内科医が担当して、そのまま当院で経過をみることになった。

 嚥下障害で経口摂取できないので、今日消化器科医といっしょに内視鏡的胃瘻造設術(PEG)を行った。消化器科医は精神的な問題で1か月休んだ後に、半日勤務をしている。調子は日によって違うが、遠い過去のことを持ち出したりするので、まだまだ本調子ではない。今日は内視鏡の方をしますと言われた(穿刺する方はやりたくないということ)。無事造設はできた。

 自分も精神的には弱い小心者だが、昔から森田療法の大原健士郎先生の本や精神科春日武彦先生の本を愛読して、精神的な問題でおかしくなる症例を多数読んできたので(反面教師)、自分はひどく落ち込むこともなく来ている。

 春日先生は、ケアネットの講義で(著書でも掻いている)精神的におかしくなる原因は、「プライド・こだわり・被害者意識」の3つと言っている。神経症レベルでは確かにその3つが原因になるようだ。(ちなみに、犯罪の原因は警察では「色・金・怨恨」と言われているそうだ)

 今日は外来もなく、病棟の患者さんたちも特に問題がなかった。午前中、イエローハットにタイヤ交換を頼んできたので、帰りに寄る。今日の主な仕事は「タイヤ交換」になった。

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変な肺炎

2017年11月15日 | Weblog

 内科の若い先生から相談された肺炎の症例。患者さんは62歳男性で、先月末に肺炎で入院して約1週間セフェム系の抗菌薬を投与して治癒退院している。退院後1週間しないうちに、また咳・痰・発熱が出現して、肺炎で再入院した。

 最初の入院の時は、胸部CTで両側肺、特に左下葉に斑状影が散在していた。再入院の時には日直医が胸部X線だけ撮影していて、陰影がはっきりしないが、症状と炎症反応上昇で肺炎再燃として入院になっている(診断的にはこの時のCTがほしかった)。

 また同じ抗菌薬を1週間投与して、症状は軽快して、炎症反応も改善した。なぜすぐに再発再燃したかは不明だが、まず治っているのでよしとしたいところだ。ところが、途中からまた発熱が続いた。炎症反応も途中から上昇してしまった。薬剤熱を考慮して抗菌薬と中止したそうだ。

 胸部X線・CTを再検すると、両側肺の胸膜下の陰影が複数個所にあった。これはいったいどうなっているのだろうか。感染性は入院していったん軽快した直後で考えにくい。非感染性の病変を考えたくなるが、前回入院と今回入院(の当初)は抗菌薬にちゃんと反応している。

 陰影が胸膜下の複数か所に出現しているのも分布として変だ。最初は感染性で途中から非感染性(器質化肺炎)になったというのはあるのだろうか。応用問題になるので、呼吸器内科のある病院へ紹介した方がよさそうだ。

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食道癌

2017年11月14日 | Weblog

 地域の基幹病院腫瘍内科がら食道癌の74歳男性が紹介されてきた。先週腫瘍内科の先生からご無沙汰してますと電話が来ていた。紹介したい患者さんがいて、いつ受診させたらいいかと訊かれたので今日にしてもらっていた。

 5年前に内科クリニックで食道癌が疑われて、がんセンターに紹介になった。診断確定したが、治療については大学病院外科に紹介になった。手術を勧められたが手術を拒否して、ESDが行われた。SM癌だった。

 その後食道自体の再発と縦隔リンパ節転移が一塊となって出現した。放射線化学療法を勧められたが、化学療法は拒否して放射線療法のみ受けた。幸い効果はあった。

 その後肺転移が出現した。地域の基幹病院でも放射線治療を開始したので、そこで放射線治療を受けた。一時的に効果があったが、その後再増大して治療は中止となった。緩和ケア病棟(専従医もおられる)も持っているので、終末期はそこで診ることも提案されたが、一番近い当院を希望したそうだ。当院は腫瘍内科医も緩和ケア医もいないが、一般内科でいいんですかと言ったが、まあ診てもらえればいいらしい。

 胸部X線で左胸水と右肺の転移巣を認めるが、先月のX線とそれほど変わらないようだ。まだまだ元気で入院する気もない。しばらくは外来で経過をみて、病状が悪化した時に入院にすることにした。

 

 「70歳を過ぎて生きる必要はありません、覚悟はできています」と言うが、案外悪化した時には慌てふためくかもしれない。現在一人暮らしで、妻は息子さんと東京に住んでいるという。今日はひとりで受診した。これまでも全部ひとりで決めてきたらしい。ちょっと性格的に癖のある方と思われた。家族との関係は詳しく訊かなかったが、最悪病院に来ないこともあるかもしれない。延命処置は必要ありませんというので、DNRの書類に自分でサインしてもらった。

 

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心拍が戻った心肺停止

2017年11月13日 | Weblog

 医師が時間外に行った救急業務を報告することになっている。内容をチェックする係りだが、「へえー、呼ばれたんだ。ご苦労様。」と思いながら確認のサインをするだけだ。外科医が、先週水曜日の午後7時半から午前1時半までの救急業務を提出していた。

 そういえば当直だった神経内科医から、次の日の朝にその話を聞いていた。84歳男性がトラクターの下敷きになっていた。発見が午後5時半で、救急搬入まで2時間近くかかったようだ。当院搬入時は心肺停止で瞳孔も散大していた。心肺蘇生を行いつつ、アドレナリンを静注したところ、心拍が戻ったのだった。血圧は低く、自発呼吸はない。(心拍が戻ってむしろびっくりしたと言っていた)

 外傷もあり、左右の肋骨骨折と右気胸があった。そこでその日の外科の当番の先生が呼ばれた。胸腔ドレーンを挿入して、人工呼吸が開始された。昇圧薬の調整などを行って、日付が変わるところまで仕事をしている。結局次の日の午後に亡くなって、警察の検死が行われた。

 昨夜は日直の後に病院に泊まっていた。当直医(大学病院から来ている外科医)からは特に連絡がなかった。1週間咳と発熱が続く33歳男性が受診して、日中内科外来を受診するよう指示されていた。忙しくて忘れていたが、午後に画面を確認すると、内科新患(大学からバイトの内科医担当)を受診して、胸部X線検査が行われていた。右下肺野と左肋骨横隔膜角に淡い陰影があり、急性肺炎だった。

 血液検査で、白血球数12000、CRP15mg/dlと炎症反応が上昇している。処方はマイコプラズマにも効くようにと、クラリスが処方されていた。肺炎球菌肺炎の可能性もあるが、クラリスでどうだろうか。1週間分の処方で、来週の予約が入っていたが、3日後くらいに内科外来の看護師さんから電話を入れてもらって、経過を確認したほうがよさそうだ。

 今日の午後の救急当番だが、今のところ救急隊からの搬入要請はない。少し熱があって頭痛もあるので、このまま終わりたいところだ。

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高齢者の入院~ちょっと訳あり

2017年11月12日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。幸いに受診数は少なくて助かった。当番医は循環器科の先生のクリニックでそちらを受診した患者さんが多かったのだろうか。一昨日院長先生から、その先生が離婚したという話を聞いて驚いた。

 内科入院は2名あった。ひとりは84歳男性で、発熱と悪寒戦慄で救急搬入された。今月初めに尿閉で当院の救急外来を受診している。尿カテーテルを留置して市内の泌尿器科クリニックに紹介されていた。2日おきに受診して洗浄していたそうだ。肺炎もなく、尿路感染症かと思われたが、尿は混濁していなかった。血液培養と尿培養を提出した。

 意外だったのはCTで肝臓内に腫瘤を認めた。少なくとも2か所にある。消化器癌の転移が疑われるが、原発巣(転移性肝癌だとして)は指摘できないかった。発熱があることから肝膿瘍も疑われる。2か所にあるのがどうかとも思うが、腹部エコーと改めて造影CTを行うことにした。白血球数は正常域でCRPは2と軽度だった。

 この方はひとり暮らしだった。7~8年前に離婚して、お子さんとも連絡が取れないという。兄弟はいるが、どうも関係が悪いらしい。看護師さんがかかわっていた民生委員に連絡したが、生存確認で時々行っていただけで、病院に行く気はないと言われたそうだ。長く大学病院の心療内科に通院していた既往もある。悪性腫瘍だった場合に連絡する人がいないということになるかもしれない。

 もうひとりは、先月3か月の入院後に退院した87歳男性で歩行できない方だった。進行した前立腺癌と診断され、泌尿器科でホルモン療法が開始されている。PSAは治療に反応して低下していた(2000台から100台に)。尿が白っぽく混濁していた。胸部X線・CTで両側胸水は以前からあるが、斑状影と空洞病変があった。通常の細菌ではないのかもしれない。抗菌薬を投与してあっさり治癒退院とはならないのだろう。

 製薬メーカーで来週行う、社内向けの糖尿病の講演で使用するスライドが一応完成した。内容は糖尿病の先生が絶対しない話で、ちょっとだけ糖尿病の基本的な話、糖質と糖質制限の話、糖尿病の有名な先生方の下世話な話の3本立てにした。

 

 

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心肺蘇生とDNR

2017年11月11日 | Weblog

 金曜日の早朝に内科の先生が担当していた85歳男性が急死した。パーキンソン病で嚥下困難となり、胃瘻造設による経管栄養が行われていた。今回は誤嚥性肺炎で入院して何とか治癒した。喀痰が多く入所していた施設では対応できず、当院から療養型病床のある病院へ転院の予定だった。病状悪化による心肺停止時はDNRの方針になっていたらしいが、同意書は作成していなかった。病棟看護師が心肺蘇生術を開始して当直医が呼ばれた。

 家族が来たところで当直医が、心肺蘇生に反応しないこと、継続しても身体を痛めるだけになることを説明して、同意により蘇生術を中止したそうだ。かけつけた主治医も家族に経過を説明した。

 このことで院長先生から招集がかかった。「予期せぬ突然死」に相当するかということだった。事故調査の対象になるのかという。「予期せぬ」か、と言われると、病状からは予期される事態だった。気管切開をしなければ、痰の喀出や吸引は充分にできない患者さんだ。と言って、誰が見ても「老衰」と思われるやせ細った寝たきりの患者さんに気管切開するのはやり過ぎだろう。

「予期せぬ突然死」とすれば、死亡後にAIを行わなければならないが、今回は施行していない。これは何としてもするべきなのか。確かに脳血管障害や虚血性心疾患(AIでは判断が難しい)の発症した可能性はある。それでも、こういう場合は家族との相談になるので、絶対とは言えない気がする。

 今日は休みで、「クイズあなたならどう診る!?ジェネラリストのための精神症状」を購入。なかなか面白本だ。夏井いつきさんの俳句の新刊2冊も購入した。消化管エコーのセミナーの申し込みをしたが、行けるかどうかはその時にならないとわからない。

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