スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ヒューリック杯棋聖戦&歴史

2024-07-02 18:58:51 | 将棋
 万松寺で指された昨日の第95期棋聖戦五番勝負第三局。
 山崎隆之八段の先手で相掛り。先に飛車先を交換した後手の藤井聡太叡王が浮き飛車に構え,先手は飛車先の交換ができませんでした。
                                        
 先手が伸ばした歩を後手が取った局面。すでに後手の方がよくはなっているようです。
 このまま☖8八角成とされては終了なので☗3三角成。普通は壁を解消して☖同銀なのですが☖同桂と取ったのが後手の工夫。
 先手は☗8三角と打ち,☖7五飛としてから☗6八玉と寄って粘りに出ました。対して☖4四角。
 ここで☗6六銀と打ったのが最終的な敗着で,☖2五飛と飛車交換を挑まれて窮しました。
                                        
 飛車交換するのは仕方がありませんがその後の☖7七歩が厳しい手になりました。☗6六銀のところでは☗7七歩か☗6六歩で辛抱する方がよく,実戦ほどは悪化しなかったようです。
                                        
 3連勝で藤井棋聖が防衛第91期,92期,93期,94期に続く五連覇で通算5期目の棋聖となり,永世棋聖の称号を獲得しました。

 スピノザが示す社会契約は,ホッブズThomas Hobbesが示したような,政治秩序の絶対的起源を説明することはできません。しかも,神Deusとの契約pactumのような別種の契約によって二重化されています。このような社会契約の下に何が理解できるのかといえば,たとえばある社会societasにおいて至高の権力がいかにして承認され,また承認され続けているのかということであり,ときに承認されずまた,承認を失ったのかということにほかなりません。つまりスピノザがいう社会契約とは,その社会が辿ってきた歴史そのものなのだと國分はいいます。
 そうであるなら,ある社会の社会契約を研究するということは,その社会を形成してきた諸々の原因causaを研究することと等しいことになるでしょう。『神学・政治論Tractatus Theologico-Politicus』の第十七章から十八章にかけて,スピノザはヘブライ国家の歴史の研究をしています。スピノザがこのような研究を行ったのは,ヘブライ国家における社会契約がいかなるものであったのかということを,具体的に研究するためであったと國分は指摘しています。スピノザの研究によると,ヘブライ国家というのはきわめて安定的に長続きするような仕組みすなわち社会契約を備えた国家Imperiumでした。ただそれは,ヘブライ国家が他の国家から独立して,正確にいえば孤立している限りにおいて有効に機能する社会契約であって,この条件が変わってしまうと社会契約の有効性も変じてしまうというのがスピノザが出している結論です。
 いうまでもなくこれが具体的な研究なのであって,有益な社会契約というのがどういうものであるのかということを研究したものではありません。他面からいえば,スピノザはヘブライ国家の社会契約を,その他の国家の社会契約と比較して,推奨するというわけではありません。ただ,社会契約の概念notioはスピノザにとってその社会が辿った歴史の概念にほかならないと國分はみているわけですから,実際には国家の数だけ社会契約の数はあるといわなければならないわけで,その中のひとつの国家の社会契約を研究することは,ほかの国家の社会契約を研究するための教訓にはなります。それは第十八章でほかの国家を研究するときにも生かされることになるのです。
コメント
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