スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

アフター5スター賞&第三部諸感情の定義二四の意味

2007-11-30 20:49:36 | 地方競馬
 昼間の開催なのにアフター5スター賞というのは笑止千万ではありますが,このレースは本来は9月5日の夜に行われる予定であったもの。当時,馬インフルエンザの影響で,南関東4場間の交流が停止されていたため,今日に延期になりました。南関東重賞が大井の馬だけでは寂しいですから,この判断は妥当なものであったと思います。
 ここは中央からの転入初戦の馬もいて,何が逃げるかもひとつの注目点でしたが,キングオブライヒの先手。これをシルヴァーゼットとエイシンボーダンが追っていき,ベルモントサンダーは6・7番手,フジノウェーブは10番手あたりの追走。前半の600メートルは34秒5。大井の1200メートルは発走後の直線が長いですのでほぼハイペースになりますが,ここはそれほど極端ではありませんでした。
 結果的に,この道中の位置取りが結果に左右したようです。楽な感じで前に取り付いたベルモントサンダーは直線に入って追い出されると楽に抜け出し,後続を寄せ付けずに快勝。逆にフジノウェーブはかなり押しながら前に取り付いてきたので心配されましたが,力で2着は確保。内内を回り,直線は馬場の中ほどに出てきて一旦は2番手に上がったベルモントストームが3着という結果でした。
 優勝したベルモントサンダーはこれが南関東重賞初制覇。東京盃で3着,JBCスプリントは出負けしてのもので,今日は発走をしくじらなかった分,そこで負けていたフジノウェーブを逆転できたという感じ。生粋のスプリンターといえそうで,南関東転入は大成功でした。鞍上の船橋の石崎駿騎手は9月のトゥインクルレディー賞以来の南関東重賞優勝。
 フジノウェーブは1200メートルでも対応できますが,本当はもう少し距離があった方がいいのかもしれません。苦しそうな手応えから2着を確保したのはこの馬の能力の証といえそうです。

 明日から熊本で今年最後のGⅠ,全日本選抜競輪。骨折で休んでいた小嶋選手が久々にGⅠの舞台に帰ってきます。

 第三部諸感情の定義二四では同情が愛であるといわれ,一方で憐憫は悲しみの一種であるとされているわけですから,この場合には第三部諸感情の定義一八の後の説明に反し,同情という感情と憐憫という感情がまったく別の感情であるということは明白であると思います。そこでこのように考えられる限りでの同情という感情がどのようなものであるかを探求するために,諸感情の定義二四の意味を考えてみることにします。
 まず,同情は愛であるわけですが,このことの意味が,憐憫は悲しみであるというのとは少し違っています。憐憫が悲しみの一種であり,同情が愛の一種であるという点は同じなのですが,同情が愛であるといわれるときの愛は,いわば前提条件のようなものといえると思います。いい換えれば,Xが悲しんでいるということを表象することによって自らも悲しむならば,これはXを憐れんでいるということになるのですが,同情の場合には,あらかじめXを愛しているということが前提となっていると考えられると思います。
 その上で,この愛のゆえにXの喜びを喜び,またXの悲しみを悲しむ場合に,この愛という感情が同情といわれるわけです。いい換えれば,愛ゆえの感情の模倣が同情ということです。したがって,そうしたことが本当にあり得るのかどうかということは問題になりますが,ある人がXを愛しているとしても,この愛のゆえにXの喜びを喜んだり,逆にXの悲しみを悲しんだりすることがないのであれば,この人はXを愛しているけれども同情はしていないということになります。
 このように定義されていますので,僕は今後は同情をこのような意味で用います。したがってここでの考察においては,憐憫と同情は概念の上で異なる別の感情であるということになります。
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竜王戦&第三部諸感情の定義二四

2007-11-29 20:26:27 | 将棋
 勝てば渡辺明竜王の防衛となる竜王戦七番勝負第五局。封じ手は△1二香。9筋は後手が突き越していて,1筋は突き合っている形なので,穴熊に組めればその分だけ後手の方が得という意味なのかもしれません。ただしこのために57手目に▲1五歩からの交換を許しました。
 先手は飛車を2筋に戻した後,67手目に▲9六歩。どうも今シリーズの佐藤二冠はこの類の手が多いです。ここからは後手が攻めきるか先手が受けきるかという戦い。先手は79手目の▲8六角(この手は悪手で,▲9八歩がよかったようです。先手は84手目の△9一香を見落としていたとのこと。さらに次の▲9四歩でも角を見捨てて▲8八銀△9五香▲8九玉で右辺に逃げ越す方が勝ったとのことで,ここで後手に形勢が傾いたようです),99手目の▲8七玉(この手は好手で,直前の△9七歩が疑問だったようです。△8六銀と出るべきだったそうです。これでまた難解に)など強気な受けを連発し,容易に後手に決め手を与えませんでした。
 104手目に△5九馬と入って挟撃態勢。ここで▲8五龍と取れないのでは決まったかに思えましたが▲4八銀がしぶとい手。111手目に▲6八玉と出て,後手はせっかく作った9八のと金が使いづらくなってしまい,この局面は厳密にはもう難しくなっているかもしれません。それでも△8四歩~△6五桂という好手順(これは好手順どころかまずかったようで,龍は8五に置いたまま,後に△7三桂のような手を含みに残すのが最善だったとのこと。△8四歩がありがたかったという佐藤二冠の大局観はさすがという感じで,ここでは先手が有望になっているようです)があり,先手玉はピンチの様相です。
 122手目から△1五香▲同飛△同歩▲6六玉というのは個人的には謎の手順。△1五香に▲6六玉△1六香なら香車は取れないものの手番になりますので,こう指す人の方が多いのではないかと思えます(この前に117手目に▲1六飛と逃げたのは疑問で,▲2九香と受けておけば先手が優位を保てていたようです。ここではまた後手が優勢に)。
 129手目の▲8一飛に△5八飛と打ちましたがここは△8五飛(ここはこちらの方がよく,また難解になりました。ただし渡辺竜王自身はこの手が敗着といっています)とこちらから打つのもあったようです。さらに133手目の▲9六角に△8七歩(最終的な敗着はどうやらこの手のようで,ここは△8八龍の方がよかったそうです)と龍取りを受けたので,▲7四角と出られ(ここで△7三金と打てないのが後手の誤算だったようです),これで先手の入玉を阻止するのが難しくなってしまったようです(143手目の△8四玉の局面で先手玉を捕えるのはほぼ絶望的。よってそこでは先手が勝勢といえるようです)。この辺りはいろいろありそうで,僕の力では読みきれませんのでいつものように後で()の中に追記します(追記に関連して,kuroumaさんがポイントを図面を使って説明しています。そちらの方が見やすいですので参照してください)。
 ここから後手も手順を尽くして頑張ったとは思うのですが,159手目の▲9六桂と165手目の▲5五桂のふたつの桂打ちが好手だったようです。169手目,▲4五歩からの反撃が厳しく,何より先手玉を捕まえることが不可能ですので後手の投了となりました。
 何とか佐藤二冠が角番を凌ぎました。ただまだ3勝2敗ですので渡辺竜王が有利な状況であることには違いありません。この将棋は今シリーズでは一番の熱戦であったと思います。勝敗は別に,次もこれを上回るような将棋を期待したいです。第六局は12月12日と13日に指されます。

 明日は大井でアフター5スター賞があります。ここはフジノウェーブ◎が負けられないところ。相手もベルモントサンダー○とコアレスタイム△が有力で,ショーターザトッシ△,エイシンボーダン△,ベルモントストーム△まで。

 第三部定理二二備考における説明が,第三部諸感情の定義一八の憐憫の定義とそう大きく隔たったものではないということはこれで確認できました。そこでさらに憐憫という感情について探っていくことにします。
 この諸感情の定義一八にはスピノザによる説明が付されていて,そこでは憐憫と同情の相違について説明されています。それによると,憐憫というのは個々の感情そのものであって,同情というのはそうした感情の習性であるとされています。つまり,憐憫というのがある悲しみの感情であるとすれば,そうした悲しみ,つまり感情の模倣によって悲しむ人間の習性についてこれを同情であるといっているわけです。したがってこの考え方によれば,憐憫という感情と同情という感情,あるいは習性との間には,何の相違もないと考えてよいことになります。
 ところが一方でスピノザは,こうした憐憫の習性とは別の意味での同情というのを,第三部諸感情の定義二四において定義しているのです。そこでこの定義を確認しておくことにします。
 「同情とは,他人の幸福を喜びまた反対に他人の不幸を悲しむように人間を動かす限りにおける愛である」。
 ここでは憐憫と同情との間に大きな隔たりがあります。それは一目瞭然というべきであるといえます。なぜなら諸感情の定義一八で,悲しみという感情の一種であると憐憫が定義されているのに対し,ここでは同情は,悲しみという感情の一種ではなくて,愛という感情の一種であるとされているからです。
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ハイセイコー記念&第三部定理二二備考

2007-11-28 19:20:58 | 地方競馬
 今回から昼の開催となった大井競馬。南関東重賞の第一弾は2歳馬による第40回ハイセイコー記念でした。
 枠は外よりでしたが押して出たヴァイタルシーズが先手を取りきっての逃げ。外にランパンテ,コラボスフィーダ,内にパワフルダンディーと続いてニックバニヤンはその後ろ。前半の800メートルは51秒0。これはスローペースといっていいと思います。
 3コーナーでコラボスフィーダが上昇していくとランパンテは後退。4コーナーにかけてコラボスフィーダはヴァイタルシーズに並びかけにいきましたが,スローの逃げとあってヴァイタルシーズの手応えは楽。結局,直線に入ると追い出されたヴァイタルシーズが後続を寄せ付けることなく逃げ切って優勝。コラボスフィーダが2着で,直線だけ外に出されて追い込んだニックバニヤンが3着でした。
 優勝したヴァイタルシーズは前走の鎌倉記念に続いての南関東重賞連覇。距離面はそんなに不安はないと思うのですが,今後の課題はやはり逃げられなかった場合にどうかということになるのではないでしょうか。前走までの主戦であった左海誠二騎手が今日は2着馬の方を選んだということで乗り換わった川崎の酒井忍騎手は,昨年暮れのテレビ埼玉杯以来の南関東重賞制覇となりました。
 2着のコラボスフィーダは船橋で連勝していた馬。今回は中間に一頓挫あって陣営は少し稽古不足を懸念していましたので,将来性はあるいはこちらの方が上かもしれません。

 竜王戦七番勝負第五局は相矢倉に。部分的に一昨日の王将戦と同じ形になりましたが,今日は▲3五歩といきませんでしたので,▲3七銀型の定跡形に進展。先手が早めに▲2五歩と突き,穴熊に組替え,後手から先攻しそうな封じ手の局面は,あまり見たことがない形です。

 憐憫という感情は感情の模倣affectum imitatioに大いに関係しているのですが,さらにこの感情を詳しく調べるために,第三部定理二二の備考をみておくことにします。ここで憐憫という感情が説明されているからです。ここでスピノザは憐憫について,「他人の不幸から生ずる悲しみであると定義できる」といっています。諸感情の定義というのは『エチカ』においては第三部の最後に一括して示されています。ですので,『エチカ』において憐憫という単語が出てくるのは,実はこの部分が最初なのです。
 この部分の説明を第三部諸感情の定義一八と比べると,少し違っているようにも思えます。まず,後者では同類とされている点がここでは単に他人とされていて,また後者では害悪といわれているのに対し,ここでは不幸といわれています。しかしこれはさして問題にはならないでしょう。
 まず,ここで他人といわれているのは,僕たちが感情の模倣を起こすような他人という前提です。したがって同類というのは,そうした他人のことを意味すると考えればよいでしょう。次に害悪と不幸というのは,ことばのニュアンスとしては若干の違いがありますが,憐憫が悲しみに関係する感情の模倣であることに注意すれば,どちらもそれが同類あるいは他人に対して悲しみを生じさせることと考えるのが妥当でしょう。憐憫が悲しみであるという点ではともに一致しています。よって模倣される感情の方も悲しみであるということは,憐憫が感情の模倣である限り,絶対的な前提となると考えられるからです。
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花月園記念&感情の模倣

2007-11-27 19:02:03 | 競輪
 25日に決勝が争われた花月園記念。北日本が別ラインのレースとなり,小細工なしの力と力の対決になりました。
 山田選手がSを取って村上選手の前受け。3番手に佐藤選手,6番手に山崎選手で周回。
 残り2周のホームで山崎選手が上昇。このとき番手は小野選手でしたが,小橋選手が外から追い上げ。この追い上げに佐藤選手が乗るような形となり,そのまま一気に山崎選手を叩きました。村上選手も仕掛けていく構えを見せましたが,佐藤選手は譲らず打鐘から先行。村上選手が4番手に入り,山崎選手は6番手。中団の村上選手がバックから捲っていきましたが,有坂選手のブロックもあり,2番手で併走するような形。この隊列が短くなったところを後方から山崎選手が一気に発進し,直線も山おろしをかけるような形で抜け出して優勝。逃げた佐藤選手が2着に粘り,このライン3番手から有坂選手を差した中村選手が3着に入りました。
 優勝した福島の山崎芳仁選手は8月のいわき平記念以来の記念競輪制覇。展開のあやで後方からの捲りになりましたがやはり強いです。後ろからになっても小野選手も小橋選手も切り替えなかったのは,追込み選手としての両者の意地という面もあるのでしょうが,やはり山崎選手が強いということの証明ではないでしょうか。
 しかし打鐘から先行して2着に粘った佐藤選手もさすが。しばらくはこのふたりには逆らえそうもありません。

 明日は大井でハイセイコー記念。ここはニックバニヤン◎,コラボスフィーダ○,ヴァイタルシーズ▲の3頭が有力でしょうか。ほかではジェイドファスト△とパワフルダンディー△。

 明日から竜王戦七番勝負第五局が始まります。せっかくの七番勝負なのですからここはなにがなんでも佐藤二冠に勝ってほしいところです。

 憐憫commiseratioの定義Definitioというのは第三部諸感情の定義一八の通りです。ところで,この憐憫という感情affectusは,スピノザの感情論というのを論理的に示すための特徴のひとつといえる,感情の模倣affectum imitatioという考え方と大きく関係しています。実際にスピノザ自身が,第三部定理二七の備考Scholiumにおいて,感情の模倣ということが悲しみtristitiaに関係して人間のうちに生じるのであれば,それが憐憫という感情であるという意味のことをいっています。
 感情の模倣というのは,文字通りに,他者の感情を模倣することです。もちろん模倣といっても,意図的に真似るというわけではありません。ここでは人間の感情について考えることが目的ですので人間にのみ関連して説明しますが,僕たちが僕たち自身以外のだれかを表象し,さらにその表象したその人がある感情を抱いていると表象するimaginari場合に,まさにそうした表象imaginatioのゆえに自分自身もそれと同じ感情を抱くようになるとき,それは感情の模倣といわれます。
 僕たちがある人間を愛している場合,こうした感情の模倣というのは頻繁に生じます。また愛amorという感情についてはそれを抱いていない場合でも,憎しみodiumという感情を抱いていないのであればやはり生じることがあります。これは僕たち自身が経験的によく知っていることではないかと思います。本来は,こうした感情の模倣というのがいかにして生じるかも説明するべきかもしれませんが,ここでは経験的に明らかであるとだけしておきます。愛する対象の場合には第三部定理二一で詳しく説明されていますので,興味があれば『エチカ』をお読みになってください。
 
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王将戦&第三部諸感情の定義一八

2007-11-26 20:50:23 | 将棋
 王将戦挑戦者決定リーグ五回戦。持ち時間が4時間ですが,対局開始が10時ということで,終盤は観戦することができました。熱戦で面白かったです。
 リーグ戦というのは不公平をなくすためにあらかじめ先後が決まっていて,ここは佐藤二冠の先手。後手の森内名人が追随したので相矢倉。ただし先手は☗6七金右の前に☗3七銀と上がり,25手目に☗3五歩と仕掛けました。後手が☖7四歩を突かなかったからだと思うのですが,逆にいえば後手から誘ったといえるようにも思います。この後,43手目に銀交換となった辺りでは,先手の仕掛けはとりあえずは成功したといえるのではないでしょうか。
 60手目から☖9四歩☗9六歩☖1四歩☗1六歩☖9三桂と進みましたが,結果だけでいえば後手は1筋は突き合わずにすぐに☖9三桂と跳ねる方がよかったかもしれません。後手は68手目に☖8五桂といきましたが,すぐ銀と交換するのはむしろ先手に利ありというのが両対局者の一致した読みだったようで,☖9五歩と端から。対して先手も73手目に☗1五歩とこちらの端から仕掛け,攻め合いに突入しました。
 先に先手が端を突破しましたが90手目の☖4七銀成で飛車角両取り。すでにこの辺は観戦中でどうするのかと思っていたら,☗3七飛とぶつけました。☖同成銀と取るのは仕方がないのでしょう。ここから先手は4筋に拠点を作り対して後手は102手目に☖5九飛と取った飛車を打って詰めろ角取り。ここで☗9六歩はぬかりのない手。さらに☖同香に角を取れと☗6九歩。後手は迫る必要があるので☖同飛成ですが,攻め駒が不足している感じです。
 110手目に☖9二飛と詰めろで回りましたがこれに対して☗9三歩~☗8五桂が玉の逃げ道を作りつつ飛車取りとなって幸便。その間,113手目に☗4三銀と打ったのも大きく,どうやらここでは大勢が決したようです。投了の局面で飛車が逃げれば☗2一飛が王手角取りになってしまいますので,見込みはないようです。
 これでリーグ戦は佐藤二冠が3勝1敗,森内名人が3勝2敗となりました(人数が奇数なので対局数が異なっています)。最近の佐藤二冠の将棋からは考えられないような好内容での勝利で,明日は気分よく天童に向かえるのではないかと思います。

 今回の主題はあくまでもテーマとして設定した第四部定理五〇を証明するということにあります。で,今までは定理Propositioの証明Demonstratioというのは大抵の場合は1日で済ませてきました。しかし,本来の目的は,スピノザの感情論の基本的な部分を明らかにするということにありますので,ここでは時間をかけてゆっくりと証明していきます。その際,証明の本筋からは外れる部分もあるかと思いますが,それは感情論の方を明らかにするという目的のためですので,あらかじめご了承ください。 
 さて,この定理を証明する大前提として,そもそも憐憫commiseratioという感情affectusがどのような感情であるのかということを理解しておかなくてはなりません。これは第三部諸感情の定義一八に定義されています。
 「憐憫とは我々が自分と同類であると表象する他人の上に起こった害悪の観念を伴った悲しみである」。
 まず,同類というのはどう考えても構いません。同じ人間としてでも,あるいは仲間としてでもいいです。このことはこの定義Definitioにはあまり重要ではないと思います。次に害悪というのは,より正しくいうならば,悲しみtristitiaをもたらすようなもののことです。したがって,ある人間が,その人間と同類であるとみなすようなXがあり,このXにある何らかの害悪がもたらされることを表象するimaginariことによって,その人間自身も悲しみに刺激されるとき,この人間が憐憫という感情を抱いている,あるいはこの人間がXを憐れんでいるといわれるということになります。これは定義ですので,『エチカ』において,あるいは『エチカ』についての考察であるこの場では絶対的なことであり,これ以外の感情についてはそれを憐憫ということはないということになります。
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ジャパンカップ&主題

2007-11-25 19:09:57 | 中央競馬
 今年のジャパンカップの外国勢は,キングジョージと凱旋門賞を勝ったディラントーマスが目玉となる筈でしたが,検疫上の不備で出走できず。勝ち負けはまったく別の話ですが,これは残念なことでした。
 注文をつけてチョウサンの逃げ。コスモバルクが2番手で,ポップロックとフサイチパンドラまで差なく続きました。前半の1000メートルは60秒1。スローペースでしたが極度のものにはなりませんでした。メイショウサムソンは中団の外,ウオッカは最後尾から。
 直線,内にいたポップロックが少し外に持ち出すと,その後ろで控えていたアドマイヤムーンはそのまま進出,まず抜け出しました。メイショウサムソンは外をそのまま回ってきて,ウオッカは直線の途中で一番外まで出して追撃。4頭のレースになりましたが,アドマイヤムーンがポップロックをきわどく凌いで優勝。ポップロックが2着で3着にはメイショウサムソン。ウオッカは4着まで。
 優勝したアドマイヤムーン宝塚記念以来の勝利で大レース3勝目。岩田康誠騎手,松田博資調教師もそれ以来の大レース優勝。発走後の1コーナーで掛かっていたように,本質的にこの距離は少し長いのだろうと思いますが,能力の高さで凌ぎました。スタミナを問われるような速い流れにならなかったのもこの馬には幸いしたと思いますし,距離のロスなく内を回ってきた岩田騎手の手腕も見事だったと思います。
 メイショウサムソンはもう少し前につけられればよかったかもしれません。終始外を回るレースで勝ち馬とは対照的。枠順の差が今日のレースでは大きかったように思いますし,瞬発力を問われるレースとなったこともこの馬には災いしたと思います。
 ウオッカは53キロとはいえ3歳の牝馬ですから,今日の相手にレースになるところまできたのはむしろ称えられていいのではないかと思います。

 明日は王将戦挑戦者決定リーグの5回戦が一局組まれています。リーグ戦の一戦ではありますが,森内名人に佐藤二冠という好カードですので紹介します。ここまで森内名人が25勝,佐藤二冠が27勝です。

 第四部定理五〇の意味について,僕がひとつ注意しておきたいのは,この文章を読む限り,もしも人間が理性に従うという前提で,憐憫という感情がそれ自体で悪であって無用であるかのように思われますが,実際には,この前提においてはそれが無用であるということだけが正しいのではないかと思います。むしろ憐憫という感情は,人間が理性に従おうと従うまいと,それ自体でみられるならばそれは悪なのであって,しかし人間が理性に従わない場合には,この悪である感情が有益でもあり得るという意味に僕は理解しています。なぜ僕がそう理解するかは,今回の考察の中で明らかになっていくでしょう。
 さて,一般的に考えれば,憐憫というのは善であるとはみなされるとしても,悪であるとされることはあまりないのではないかと思います。大抵の場合,他人を憐れむということは,徳としてみられるのではないでしょうか。僕が今回のテーマにこの定理を選んだのは,こうした点でスピノザの感情論が,僕たちが普通に考えている道徳と乖離している部分があるのではないかと考えたからです。逆にいえば,スピノザがなぜ憐憫をそれ自体では悪であるとみなすかを探求することによって,きっとスピノザの感情論の真意が明らかになるのではないかと思います。したがって今回の主題は,この定理が正しいということを証明するということだけです。この証明の仮定において,僕がよくできていると考えているスピノザの感情論の基本的要素が示されることになると思います。

 
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ジャパンカップダート&第四部定理五〇

2007-11-24 19:20:54 | 中央競馬
 東京の2100メートルで争われるのはおそらく今年で最後になるであろう今日の第8回ジャパンカップダート
 エイシンロンバードの逃げ。これをキャンディデート,ブルーコンコルド,フリオーソが追っていき,比較的縦長の隊形に。ペースは明らかにハイペース。ヴァーミリアンは中団につけました。
 4コーナー辺りで前が一塊に。先行した各馬は末を失い,インコースからフィールドルージュが抜け出しましたが,外に回ったヴァーミリアンがこれを捕え,最後は1馬身4分の1の差をつけてのレコードタイムで快勝。フィールドルージュが2着で,さらに3馬身半離されましたが外を追い込んだサンライズバッカスが3着に入りました。
 優勝したヴァーミリアンエルコンドルパサー産駒。母系はスカーレットインクの一族。馬名の意味は朱色。前走のJBCクラシックに続く連勝で大レース3勝目。武豊騎手,石坂正調教師もそれ以来の大レース優勝。堂々と外を回って差しきったもので,やはりここでは能力そのものが違っていたようです。昨日の1000万条件で2分0秒台が出ていますのでレコードタイムは当然ですが,今しばらくは日本のダート競馬の頂点に君臨し続けそうです。
 2着のフィールドルージュは昨年はヴァーミリアンに先着しての3着。まだ重賞も勝っていない馬なのですが,東京コースですと安定して走れるようです。

 明日はジャパンカップです。ここはメイショウサムソン◎が中心。ウオッカ○,インティライミ▲,ポップロック△,アドマイヤムーン△,ペイパルブル△で。

 花月園記念は決勝。北日本は別ラインで,佐藤-有坂に中村,山崎には小橋ですが,小野-大竹の大分がここで競るようです。あと村上-山田の近畿中部。ここは佐藤選手を中心に考えたいです。

 実をいいますと前回のテーマであった第二部定義三に引き続き,もうひとつスピノザの観念論を考えてみるつもりでいました。しかし,前回のテーマを扱っている最中に,次のようなコメントを頂きました。正直なところ僕は医学などにはまったく無知ですから,スピノザの哲学,とりわけ感情論を医学に生かすといっても,それをどのように生かせばいいのかということは分かりません。ただ,スピノザの感情論については,これまた観念論と同様に,非常によくできたものであるという印象を抱いています。そこでこれも何かの縁ではないかと思いますので,もうひとつの観念論はまた後回しにすることにして,今回は感情論を扱ってみることにしました
                        
 とはいうものの,『エチカ』は五部構成になっていますが,各々の部についている副題のうち,第三部は「感情の起源および本性についてDe Origine, et Natura Affectuum.」となっていて,さらに第四部は「人間の隷属あるいは感情の力についてDe Servitute Humana, seu de Affectuum Viribus.」となっていますので,スピノザの感情論について網羅しようと思うならば,第三部と第四部をすべて探求しなければいけないことになります。僕もいずれは『エチカ』の読解を最初から最後までここでやってみたいと思ってはいますが,現状の力では無理があります。そこで今回は,スピノザの感情論の基本的な考え方を示すために,第四部定理五〇を取り掛かりにして,これを考えていくことにします。これは次のような定理です。
 「憐憫は理性の導きに従って生活する人間においてはそれ自体では悪でありかつ無用である」。
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倉敷藤花戦&第二部定義三まとめ④

2007-11-23 19:30:16 | 将棋
 斎田晴子倉敷藤花の先勝を受けて指された今日の倉敷藤花戦三番勝負第二局。休日でしたが所用で出かけたこともあり,残念ながらライブ中継を見ることはできませんでした。
 斎田倉敷藤花の先手で中飛車。後手の清水市代女流王将は角道を開けない指し方。このため9手目には先手から▲5五歩と仕掛け,先手も8筋を交換する面白い将棋になりました。
 22手目に後手が飛車を引いたところで▲6六角と引き,▲8四歩と打っていったのは先手の作戦でしょう。後手は28手目に△8七歩。苦しげな感じを受けますか,先手からの8筋逆襲は阻止しました。対して先手は▲5四歩と打ち,36手目の△6五銀に▲5五飛と出て,角銀交換の駒損に甘んじても5筋突破を狙いました。結果的にみると本局のハイライトはこのあたりから突破を目指す先手と阻止しようとする後手の攻防にあったようです。
 詳しく検討していないので分かりませんが,本当は途中でいく手があったのかも分かりません。ただし実戦の進行はどうしても突破できなかったので,後手有利に傾いていったようです。78手目に△4五飛と打った局面はおそらく後手が優勢で,先手はどうも駒不足に泣いているような印象です。
 この後,後手は少しもたついたような気がしないでもないですが,逆転には至らず,最後は先手玉を即詰みに討ち取っての勝ちとなりました。
 これで1勝1敗。というわけで引き続き明日,第三局が指されます。三番勝負ですので,勝った方が倉敷藤花を獲得することになります。

 明日はジャパンカップダートです。ヴァーミリアン◎が勝つと思います。相手はフリオーソ○,ドラゴンファイヤー▲,メイショウトウコン△,ワイルドワンダー△まで。

 思惟の様態が思惟の様態であるということだけで,その思惟の様態が思惟作用をなす,あるいは同じことですが神の思惟の属性を表現するということ,つまり,その思惟の様態が原因となって別の思惟の様態,とくに第二部公理三により思惟の様態のうち第一のものである観念を生じさせるということは,延長の様態との関係で考えれば,むしろ容易に類推することができることだと思います,
 第二部自然学①公理一により,すべての物体は運動しているか静止しているかです。物体は延長の有限様態ですので,これを思惟の有限様態との類推で考えても構いませんし,これを延長の様態一般にいえることと考え,思惟の様態一般との類推で考えても構いません。この公理によって,運動もしていなければ静止もしていないものというのは,延長の様態,少なくとも延長の有限様態である物体という範疇には入らないということ,つまりそうしたものは物体ではないということが明らかです。したがって,延長の様態,あるいは物体にとって,それが運動ないしは静止することというのは,思惟作用に対応するような延長作用であって,それが延長の様態による神の延長の属性の表現にあたるのです。そしてこれは物体についての公理なのですから,物体がこのような延長作用をなすことについては,これが物体であるということ,いい換えれば,これが神の延長の属性が一定の仕方で変状した様態であるということに訴えるだけで十分であるということが明らかだと思います。
 このことを思惟の様態との関係で考えれば,思惟の様態もそれが思惟の様態であるということに訴えるだけで,それが神の思惟の属性を表現するということが明らかになるのではないかと思います。
 このテーマはこれで終了。明日から新しいテーマです。
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竜王戦&第二部定義三まとめ③

2007-11-22 19:41:52 | 将棋
 竜王戦七番勝負第四局。
 封じ手の△5五歩から46手目に△5四角と打ったのは後手の作戦。しかし▲6七角と打ち返されて。この角はあまり働きませんでした。この後,先手は61手目に▲3三歩成とと金を作ってポイントを稼ぎ,73手目の▲7五歩~▲8七角も好手順。後手も2日目は普通に指しているという感じがするのですが,普通に指していったら先手が快勝したというように思えました。そもそも封じ手の局面で後手には問題があるのかもしれません。
 一手損角換り△9四歩型の趣旨から考えると,▲9六歩と受けられた上に先手に穴熊に囲われてしまっては,主張するべき点がないように思えます。この将棋は角交換の後,12手目に△2二飛と回っていますが,先手は向飛車を予期したかのように▲3八銀と備えていますので,これがそもそも早くに形を決めすぎで,ここは△9五歩のような手で,まだ居飛車か振飛車か態度を決めない方がいいのかもしれません。ただこの場合には,後手の立ち遅れを咎めに,3八の銀を早めに繰り出していくような将棋になるのかもしれません。いずれにせよそう多く指されているわけではないので,確たる定跡というものが確立していませんが,もう少しこの指し方には工夫が必要なのではにかと感じました。
 その他,何かあればいつものように()の中に追記します。
 これで渡辺明竜王が3勝1敗と防衛に王手。第五局は28日と29日に指されるのですが,佐藤康光二冠は26日に王将リーグの森内名人戦があるという厳しい日程の上,今期は先手番の将棋で大きく負け越しているということもあり,このシリーズの帰趨が見えてきたという感があります。

 明日は倉敷藤花戦三番勝負第二局が指されます。斎田倉敷藤花が勝てば防衛。清水女流王将が勝ちますと翌24日に第三局が指されます。

 精神が思惟の様態であるということだけのことから,観念が発生するということを検証していくために,まず様態の定義である第一部定義五と,ここでの考察におけるその意味を明らかにし,続いてさらに詳しく調べるために第一部定理二五系を援用し,個物の特性というものを調べました。すると,個物が神の属性を表現するということが明らかになりました。そして表現の問題としてここで考えなければならないこととして,表現の理由と内容というふたつのことを考え,その具体的内容として,個物が原因となって別のものを生じさせるということがその内容ではないかと考え,そのように考えられる根拠を明示しました。また,そうしたことは,単に個物の場合にだけ妥当するのではなくて,無限様態の場合にも同様に妥当するであろうと結論しました。精神は必ずしも個物であるとはいえませんので,これは重要なところと思います。
 これらのことを基に,精神の場合について考え,精神,あるいは思惟の様態一般による思惟属性の表現思惟作用ということにしました。そして第一部定理三を援用することによって,思惟の様態が原因となって生じる結果は思惟の様態であるということを明らかにし,思惟の様態のうちの第一のものは観念であるということがすでに明らかになっていますので,この定義のうちには,観念の発生の正当性があるということ,すなわち,精神はそれが思惟の様態であるということだけで,ある観念を生じさせるということが,正しいということを明らかにしたわけです。これで今回のテーマの最大の問題は解明できたと思います。
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浦和記念&第二部定義三まとめ②

2007-11-21 19:32:03 | 地方競馬
 週末にジャパンカップダートを控えているために,本当のトップクラスの参戦はなく,混戦が予想された今日の第28回浦和記念
 パーソナルラッシュがゲート内で膠着して競走中止。キングスゾーンの逃げを予想していましたがシーキングザダイヤが先導。以下,キングスゾーン,マズルブラスト,ノボトゥルー,その後ろも一団で,ケイエスゴーウェイを除くとほとんど一塊。前半の1000メートルは65秒7で,これは極度のスローペースです。
 レースは2周目の向正面でトップサバトンが進出していったのを機に動き,キングスゾーンがこれに応戦してシーキングザダイヤを交わして出て,2頭が少し後ろを離して直線に。この叩き合いはキングスゾーンがトップサバトンを競り落としたのですが,一旦は控える形となったシーキングザダイヤが直線に入ると再び脚を伸ばしてこれを捕え,さらに外からルースリンドも強襲。振り切ったシーキングザダイヤが1着で2着にルースリンド。キングスゾーンは3着でした。
 優勝したシーキングザダイヤは昨年の日本テレビ盃以来の勝利。母はシーキングザパール。本来はジャパンカップダートに出るべき馬で,そちらを避けてここを使ってきたというのが弱気ではないかと感じ狙いを下げてみたのですが,実力通りに走ればこのメンバーでは力が上ですから,勝って当然とはいえます。一旦控えて差し返してきた武豊騎手の騎乗も味がありました。
 2着のルースリンドは6歳にして急上昇を見せた馬。シーキングザダイヤを相手にこれだけ戦えたのであれば上等ではないでしょうか。
 期待したキングスゾーンもよく頑張ったと思います。トップサバトンに応戦したのは普通に考えれば当然の騎乗法でしょう。ただ距離はやはり少し長いのかもしれません。

 竜王戦七番勝負第四局は佐藤二冠の一手損角換り。△9四歩型で向飛車。渡辺竜王は穴熊に囲いました。

 明日から花月園記念が開催されます。ここは佐藤,山崎と揃った北日本が強力に思えます。

 もうひとつ,第二部定義三で問題となるのは,観念ideamの本性が精神の概念Mentis conceptumであるとされている点です。というのは,これは人間の精神mens humanaについてのみ述べられている定理ですが,それが人間に限らず,あらゆるものの精神について妥当であると考えられる第二部定理一一で,精神というのがある観念であるということ,あるいはある観念の集合体であるということが明らかになっていて,さらに概念は能動的な認識を意味しますが,精神がある事物を能動的に認識するとは,精神がある事物の観念を能動的に認識するということにほかなりません。したがってこれでみればこの定理は,ある観念の集合体が形成するその観念の集合体自身の観念であるということになります。ところがこの定義Definitioは観念の定義ですので,これでは観念を定義するために観念そのものに依拠しているのではないかという疑問が生じます。
 第二部公理三は,思惟の様態cogitandi modiのうち第一のものが観念であるということを示しています。したがって,観念の定義のために観念以外の思惟の様態に訴えることはできないという消極的解決が,この問題の解決法として考えられます。しかし一方で,観念の本性というのは観念の観念idea ideaeにほかならないという考え方を導入すれば,精神の概念というのはまさに観念の観念という意味をもっているわけですから,この問題を積極的意味において解決することができるとも,僕は考えています。
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兵庫ジュニアグランプリ&第二部定義三まとめ①

2007-11-20 19:39:00 | 地方競馬
 来年はJBCレースが行われる園田での兵庫ジュニアグランプリ(動画)。
 発走後の直線は激しい先行争い。アルアルアルが先手を取りきり,以下は枠順の差で,タカラストーン,ウルトラエナジー,ディアースパークルという隊列に落ち着き,ディアヤマトはその後ろ。3コーナー手前でディアヤマトが進出していくと,ウルトラエナジーとディアースパークルは脱落。内からアルアルアル,タカラストーン,ディアヤマトが雁行状態となり,4番手にはチェイリュイが追い上げてきましたが,これは差があり前3頭の競馬に。一番外のディアヤマトが抜け出して優勝。タカラストーンがアルアルアルは交わして2着。アルアルアルが3着でした。
 優勝したディアヤマトは北海道2歳優駿で3着。ここは強力な北海道勢の遠征がなく,メンバー的には順当な重賞初制覇といえそうです。あるいは距離もこのくらいの方がいいのかもしれません。母系はフロリースカップシラオキの分枝にあたる馬で,シラオキの子のミスアシヤガワまではスペシャルウィークと同じです。。

 明日は浦和記念です。キングスゾーン◎を狙ってみます。ルースリンド○,マズルブラスト▲,トップサバトン△,シーキングザダイヤ△,クーリンガー△まで手広く。

 また,明日から竜王戦七番勝負第四局が始まります。負ければ後がなくなる佐藤二冠が後手でどんな作戦を立ててくるかが注目です。

 第二部定義三は,観念の本性と発生を含んでいると僕は考えています。具体的にいうと,精神が形成するその精神自身の概念であるという部分が観念の本性にあたり,精神が思惟の様態であるという部分が観念の発生を示すと考えているわけです。そして今回のテーマの最も主要な部分は,精神が思惟の様態であるということがなぜ観念の発生を含むといえるのかという点にありました。しかしこの定義はこの定義でほかにいくつかの問題を抱えていますので,まずはそちらから考えていくことにしました。
 まずこの定義で最も重要なことは,ここで概念といわれているものが,能動的な認識を意味するということです。そしてこのことから,この定義にはある観点が含まれているということが理解できます。第三部定義二により,能動的というのは,あるものが結果に対して十全な原因であることを意味します。次に第三部定理一に注目し,この定理の証明で生じる結果の観念の方に注目すると,精神が能動的に形成するような観念はすべて十全な観念であることが分かります。概念は能動的な認識を意味し,その概念が観念の本性とされているのですから,第二部定義三で定義されている観念は,すべて十全な観念であって,混乱した観念は除外されるということになると思います。これでもこの定義が観念の定義として妥当であるということには確かな根拠があって,それは定義の実在性という観点を導入すればより明らかなのではないかと思います。
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一宮記念&思惟の様態との関係

2007-11-19 19:04:45 | 競輪
 愛知の一宮記念ということで,中部勢が岐阜-愛知-岐阜-愛知という並びで折り合った昨日の決勝(動画)。
 伏見選手がSを取ってそのまま前受け。永井選手が5番手で桑原選手が最後尾での周回。残り3周のバックから鰐淵選手がまず上昇。これに永井選手が続いて,残り2周のホームで鰐淵選手がインを斬ると,伏見選手は抵抗せずに下がり,永井選手が前に。鰐淵選手は4番手に入り直し,中塚選手がバックで切り替えたので伏見選手は7番手に。そのまま永井選手が発進すると,4番手の鰐淵選手が離れ加減になりましたが,結果的にこのために伏見選手が捲っていきにくくなったので,前の3人にはアシストのような形に。直線,踏み込んだ一丸選手の外からさらに山口選手の伸び脚が勝って優勝。一丸選手が2着で,永井選手が3着に逃げ残りました。
 優勝した岐阜の山口幸二選手は,1998年の競輪グランプリを勝ったほどの選手。競輪選手としてはやや細身です。ずっとトップクラスで戦ってはいるものの,正直,それ以降はやや精彩を欠いているという印象もあり,記念競輪も2001年の小松島記念以来の優勝。これが何かのきっかけになるでしょうか。番手から伸びを欠いてしまうようなシーンが目立つ選手で,気楽に3番手を回ったのもよかったかもしれません。
 絶好の番手となった地元の一丸選手には残念な結果でしたが,中部の作戦はうまくいったといえ,上位独占が決まりましたのでまあよしとしたところでしょうか。

 明日は園田で兵庫ジュニアグランプリがあります。ここはJRA勢が上位で,ディアヤマト◎,タカラストーン○,ビーチアイドル▲。ほかでは地元のタッカ-ルーラー△とアルアルアル△。

 これらのことから,運動してもいなければ静止もしていないもの,つまり何らかの延長作用をしていないものは,物体であるとはいえないということが明らかです。したがって,物体というのは単にそれが物体である,正しくいうならばそれが神の延長の属性の有限様態であるというだけのことからして,こうした延長作用というのをなし,また同じことですが神の延長の属性を表現するということになります。
 ところで,延長の様態が延長の様態であるからこそなすような延長作用というのは,思惟の様態が思惟の様態であるからこそなすような思惟作用に対応します。したがって,延長の様態としての物体と神の延長の属性との間にあるこの関係は,思惟の様態と神の思惟の属性との間にある関係と完全に同一でなければならないことになります。かくして思惟の様態はそれが思惟の様態であるというだけのことからして,ある思惟作用をなし,また同じことですが神の思惟の属性を表現するということが,容易に結論付けられるのではないかと思います。
 そしてこのとき,思惟の様態がなす思惟作用というのは,その思惟の様態が原因となって別の思惟の様態,思惟の様態である観念を生じさせるのであるということがすでに明らかになっています。したがって,運動もしていなければ静止もしていないようなものは物体であるとはいえないということができるように,それが原因となって何らかの観念を生じさせないようなものは思惟の様態であるとはいえないということも明らかになっていると思います。
 このテーマはこれで終わりにして,明日からまとめに入ります。
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マイルチャンピオンシップ&延長の様態

2007-11-18 19:17:55 | 中央競馬
 秋の芝マイル王決定戦のマイルチャンピオンシップ
 ダイワメジャーのいきっぷりがよく,逃げることもできそうでしたが,ローエングリンとフサイチリシャールを先に行かせて3番手。前半の800メートルが46秒4のミドルペース。
 強いときのダイワメジャーのように直線に入るとあまり後ろを待たずに追い出して抜け出しました。外からスーパーホーネット,アグネスアーク,スズカフェニックスの3頭がいい脚で追い込んできて,スーパーホーネットがかなり差を詰めましたが,詰め寄られるとダイワメジャーがもう一伸び。クビ差ではありますが危なげのない内容でダイワメジャーが優勝。スーパーホーネットが2着で,3着はスズカフェニックスがアグネスアークを抑えました。
 優勝したダイワメジャー安田記念以来の勝利でこれが大レース5勝目。上原博之調教師も安田記念以来の大レース勝ちで,安藤勝己騎手は先週のエリザベス女王杯に続く連勝。母系はスカーレットインクの一族。この秋はらしくないレースを2回続けていて,この中間は少し楽をさせていたふしがあるのですが,今日は好調時そのもののレース振りで,ここでは明らかに能力上位の存在ですから,力を出し切れば勝って当然といえます。
 期待したカンパニーはいつも通りの位置取りで,これはよかったと思います。できれば直線で外に出してほしかったですが,今日は少し口向きの悪さを出したようなレース振りでした。どうも大レースでは少し敷居も高いようです。

 ここでの考察に対応させていうならば,第二部自然学①公理一の意味における物体の運動ないし静止というのは,物体による神の延長の属性の表現であると考えることができます。もちろん物体はある運動をすることによって,必ず何らかの結果を生じさせるとはいえないかもしれません。にも関わらずこれが延長の属性の表現であるということは,逆の場合を考えれば明らかです。すなわちあるものがあって,そのものが運動もしていなければ静止もしていないと仮定するならば,このものがそのもの自体としては延長の属性を表現しているとはいえないであろうからです。したがって物体にとって運動することあるいは静止することというのは,まさに延長の属性の表現であって,思惟作用ということばに対応させていうならば,延長作用であるということができると思います。
 さらに,このように考えた場合に,物体がこうした延長作用をなす理由というのは,まさに物体が延長の属性の有限様態であるということに訴えるだけで十分であるということがよく理解できるのではないでしょうか。なぜなら,やはり同様にあるものがあって,しかしこのものが運動もしていなければ静止もしていないのであれば,そのものはもはや物体であるとはいえないでしょうし,僕たち自身,そうしたものをひとつの物体とは認識しないのではないかと思います。
 このように,延長の属性とその有限様態である物体との関係について考えれば,物体というものが延長の属性の変状であるという理由だけで,それが延長の属性を表現し,また延長作用というものをなすということがよく理解できるでしょう。実にこれに当てはまらないようなものは,そもそも物体であるとはいえません。そしてこれはちょうどこの公理の裏側にあたるのです。すなわち,物体は運動しているか静止しているかのどちらかですから,当然のことながら,運動もしていなければ静止もしていないようなものは,物体というカテゴリーから除外されるからです。
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倉敷藤花戦&第二部自然学①公理一の意味

2007-11-17 18:45:22 | 将棋
 今期の倉敷藤花戦三番勝負は,8日に第一局が指されました。斎田晴子倉敷藤花に挑戦するのは清水市代女流王将。この日まで,斎田倉敷藤花の17勝,清水女流王将の27勝という対戦成績でした。
 振駒で後手となった斎田倉敷藤花のごきげん中飛車。先手の清水王将は7手目に▲7八金とし,2筋の歩を交換。後手は5筋の歩を交換し,定跡形とはいえ,最近はあまり指されていない形に進展しました。この後,先手が得意の抑え込み作戦に出てリード。後手としては42手目の△3三桂では△4五歩▲同銀△5五角のように指す順はあったと思いますが,それで裁けるというものでもないのでしょう。実戦は43手目の▲5六金が力強い好手でした。
 60手目の△4四銀を先手は▲同金と取って攻め合いに方針転換。ここは▲5二歩△同飛▲5四歩とあくまでも抑えこむ方針でいくのも有力だったようです。後手も捌ける形となり,少し楽しみが出てきました。
 67手目の▲4二銀が大悪手でした。ここは▲5三金と金の活用を図り,次の▲6二銀を狙うのが有力で,▲5三金に△6二銀なら▲5四銀のように,3二の金は相手にしない方がよかったようです。実戦の金銀交換は後手の方が得。70手目の△6七歩からの反撃が厳しく,すでに後手の勝ち筋に入っているかもしれません。先手は4四の金が遊んでしまいましたし,2八の飛車も受けだけの駒になってしましました。この後,82手目の△6八馬では△6八銀不成の方が少し得ではあったそうですが,実戦の手順でも問題なく,後手が押し切っています。
 三番勝負ですので先勝は大きいと思います。第二局は23日に指されます。

 明日はマイルチャンピオンシップです。カンパニー◎が勝つと思います。相手はダイワメジャー○とアグネスアーク▲が本線で,キングストレイル△とマイネルシーガル△。

 一宮記念は決勝。並びは伏見-山田-渡辺の東日本に中塚,永井-一丸-山口-鰐淵で折り合った中部で,桑原が単騎。この並びなら一丸選手から。

 第二部自然学①公理一には,それ自体ではいわれている以上のことは何もありませんので,意味として難しい部分はないと思います。ただ,ここでこの公理を扱う目的は,物体について何かを考察するということではなく,あくまでも物体について考察した事柄から,精神についても導くことができるようなことを類推していくという点にありますので,そのこととの関係の上で注意しておくべきことを説明しておきます。
 まず,『エチカ』において物体というのは,延長の有限様態,つまり延長の個物を意味します。これは,ここでは詳しく扱いませんが第二部定義一で定義されていることなので絶対です。この公理で物体についていわれている,それは運動しているか静止しているこのどちらかであるということは,単に個物にだけ妥当するのではなく,延長の無限様態も含めてすべての延長の様態に妥当であると僕は考えていますが,この点についてはここでは争いません。僕のように考えて,これをすべての思惟の様態との類推で考えても構いませんし,あるいは物体に限定して,これを思惟の個物との類推で考えても構わないです。
 もうひとつ,一般に物理学とか数学の世界では,静止というのを量が0の運動というように考えて,静止を運動の一状態に含めます。しかしここでスピノザが物体について,それは運動しているか静止しているかのどちらかであるといって,運動と静止とを別に考えているのには,僕はある理由があると考えています。これは大変な問題なので,いずれ別のテーマとして考えてみたいと思っていますが,ここで運動と静止との関係は,思惟の様態が思惟するか思惟しないかという関係には対応するわけではありません。むしろ運動と静止とがセットで思惟することに対応すると考えてください。
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織姫賞&第二部自然学①公理一

2007-11-16 18:50:35 | 競輪
 初日の11レースの特選で2着になった加倉選手が欠場。9レースの特選では4着だった稲村選手が繰り上がって出走した一宮記念の2日目優秀(動画)の織姫賞。並びは昨日の想定と異なり,菊地-山田-伊藤で北日本が結束,稲村-坂本の北関東に鈴木でした。こちらの方が自然でしょう。
 Sは山田選手が取って迎え入れられた菊地選手の前受け。稲村選手が4番手,佐々木選手が7番手からの周回。残り2周のホームで佐々木選手が上昇し,菊地選手を抑えると稲垣選手のラインも続き,引いた菊地選手が7番手。残り1周のホームから引いた菊地選手がかましていくと,佐々木選手も踏みましたがあっさり北日本が出きり,稲村選手は7番手となってバックは一列棒状。菊地選手のスピードがよく,だれも行けなかったので,前での争いとなり,差した山田選手が1着,逃げた菊地選手が2着。直線手前から早めに踏み出した一丸選手を,さらに外から捕えた山内選手が3着でした。
 今日は菊地選手の強さが光りました。前受けからあっさり引いてかましていくという作戦も,今日のメンバー構成からしてよかったのではないでしょうか。逆に佐々木選手は今日は地元勢が後ろを回るということで後ろからの周回となったと思いますが,抑えて先行というのはあまり得意な戦法ではないように思います。

 第二部定義三のうちには観念の発生が含まれていて,そして精神が思惟の様態であるということのうちには,観念の発生の正当性があるということは,これで分かりました。よって,今回のテーマの最大の問題もこれで解決することができたということになります。しかしさらにこのことを容易に理解するために,最後にもっと別の観点からこの問題に関する僕の考え方を説明しておくことにします。
 精神が,あるいはもっと一般的に思惟の様態が,それが原因となって別の観念を生み出すこと,すなわち,ある思惟作用をなすということについて,それ自身が思惟の様態であるということ,あるいは同じことですが神の思惟の属性の変状であるということにだけ訴えれば十分であるということは,僕が思うに,人間が認識することができる思惟の属性以外のもうひとつの属性,すなわち延長の属性とその様態について考察し,そのことから類推していくことで,むしろ容易に理解することができます。
 そこでまず,延長の様態に最も一般的なことを示すために,第二部自然学①公理一を援用することにします。これは岩波文庫版の『エチカ』の上巻の110ページ,僕が自然学と名付けた部分の冒頭にあたります。「すべての物体は運動しているか静止しているかである」。
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